門田博光も「700本は打てる」と惚れ込んだ逸材 T−岡田は本塁打王以降、何に苦しんだのか「じつはあの年...」 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

藤井康雄コーチ(当時/写真左)のアドバイスを聞くT−岡田 photo by Tanigami Shiro藤井康雄コーチ(当時/写真左)のアドバイスを聞くT−岡田 photo by Tanigami Shiroこの記事に関連する写真を見る 数字の感じ方はそれぞれだろうが、ファンが試合のなかでため息をつく場面も少なくなかっただろう。それでも凡打の次の打席で、より大きな声援を送られるのが岡田という選手なのだ。数字だけではない、球場を包む大歓声こそ岡田に対するファンの評価だったのだろう。

 いよいよ迫る、別れの時。最後にどんなバッティングをファンに見せたいかと聞くと、岡田は淡々とこう答えた。

「もともとブンブン振るタイプじゃないので、最後だからってそういうのは違うと思いますし......僕らしいバッティング、僕らしい当たりを見せられたら、ですね」

 205本目のホームランを、などと安易に口にするような男ではない。どこまでも岡田らしく、最後もチームのための一打を。

 2006年8月10日、京セラドームでのプロ初打席(西武戦/松永浩典に空振り三振)から数えて、5216回目の戦いが終われば、私にとって岡田の取材もひと区切りとなる。

著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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