門田博光も「700本は打てる」と惚れ込んだ逸材 T−岡田は本塁打王以降、何に苦しんだのか「じつはあの年...」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

2009年8月14日のソフトバンク戦でプロ初本塁打を放ったT−岡田 photo by Tanigami Shiro2009年8月14日のソフトバンク戦でプロ初本塁打を放ったT−岡田 photo by Tanigami Shiroこの記事に関連する写真を見る 中村以外の打者は大きく本塁打数を減らし、打球の飛びが悪くなったことは明らかだった。ただ成績を残した選手がいる以上、そこを理由にはできない。とはいえ、本塁打王を獲得した翌年、「さあここから」という時のボールの変更。因果な巡り合わせを感じずにはいられなかった。

 さらに岡田が「じつはあの年......」と思い出したように話をつなげてきたのは、バットの話題だった。

「あの年、バットの規定も変わったんです。直径の最大値がわずかですけど、狭くなった。基本、規定ギリギリの太いバットを使う人はほとんどいないんですけど、僕はタフィ(ローズ)さんのモデルを使用していて、梅雨の時期に水分を含むと危ないかも......というのがわかったんです。それでわずかですがバットを細くした。もちろん、つくってくれる人はバランスが変わらないようにやってくれたのですが、若干ですが感じが変わって。2010年のモノと本当に微妙ですけど、感覚が変わったのはありました」

 本塁打王の翌年に、ボールとバットの規定が変わった。どちらも変わらずシーズンを迎えていたら、まったく違う未来が待っていたのか。これに対し、岡田は短く答えた。

「"たられば"です」

 総じて見れば、19年間は苦しいシーズンの連続だった。そのなかで打撃と向き合いながら、中心選手となってからは、低迷続きだったオリックスをその姿勢で支えた。

【現役最後の打席は...】

 そんな岡田にとって、2021年はこの先も忘れられないシーズンとして深く記憶に残っていくだろう。会見でも思い出の一本として挙げた、天王山のロッテ戦での9回二死から放った逆転3ラン。この一打でチームは25年ぶりの優勝に大きく前進。「T−岡田はまだまだこれから」と、見る者に期待を抱かせた一打だった。

 だが翌年から出場が大きく減り、本塁打数も22年は1本、23年は0本。

 あらためて、ここまでの通算成績を見てみたい。

1362試合/1192安打/204本塁打/715打点/444四球/1183三振

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る