「快投→急に炎上」が目立つのは山本由伸の影響? 星野伸之が理由と解決策を考察 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――解決する方法は?

星野 宮城にはすばらしいクロスファイヤー(利き腕と対角線上のコースに投げ込む真っすぐ)があるのですが、基本的に右バッターに対しても左バッターに対しても全部それなんです。山川に打たれたのもクロスファイヤーでしたが、右バッターに対しては外に逃げる球があるとピッチングの幅が広がるかなと。

 ちょっと外寄りの甘いところから際どいところへ逃げるチェンジアップなんかがあれば、バッターも追いかけてくれるはず。そういった球があるとクロスファイヤーも生きると思います。今は、右バッターに対しては全部入っていく球というイメージが強いので、バッターも来る球を予想しやすいんですよね。

――そうすると、配球のバリエーションも増えますし、急に打ち込まれてしまうことも回避できそうですね。

星野 そうですね。これはほかの投手にも共通することですけど、相手があまりイメージしていない球を織り交ぜながら、狙い球を絞らせないことが大事です。僕は現役時代にインコースはあまり使わなかったのですが、点差がついて余裕のあるときにはあえてインコースを使ったりもしていましたしね。

 急に打ち込まれる理由として、先ほど「ストライクゾーンに球を集めすぎでは?」という話をしましたが、完ぺきに抑えている時はテンポが単調になっていることも多いです。その場合はしっかりと間を取るべきですし、相手に慣れさせないことが重要ですね。

【プロフィール】

星野伸之(ほしの・のぶゆき)

1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。

著者プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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