巨人・坂本勇人の不振の原因はどこにあるのか? 名コーチ・伊勢孝夫「年齢からくる衰えではない」 (3ページ目)
生身の人間である限り、歳とともに衰えはくる。35歳ともなれば、体だけでなく動体視力も低下してくる頃だろう。スイングも例外ではない。ただ力説したいのは、このゆったりとしたテイクバックからのスイングは、体の衰えとは関係ないということだ。下半身の粘りさえ戻れば、35歳でも続けていける。
問題は、そのことに本人が気づくかどうかだ。二軍でも打撃コーチはいる。しかし坂本は通算2000安打を達成するなど、実績のある打者だ。よほどの関係でない限り、コーチは気安く助言などできない。これはプロ野球という世界の慣習というか、難しいところだ。
はっきり言えることは、今の坂本は不振であり、衰えではない。不振は元に戻せる。今の巨人は、まだ坂本なくして戦えない。
坂本自身もこの壁を乗り越えることができれば、あと数年は十分にプレーできるはずだ。まだまだ勝負はこれから。コーチと選手として、かつて一緒に汗を流して練習した者として、坂本勇人の復活を願う。
伊勢孝夫(いせ・たかお)/1944年12月18日、兵庫県出身。62年に近鉄に入団し、77年にヤクルトに移籍。現役時代は勝負強い打者として活躍。80年に現役を引退し、その後はおもに打撃コーチとしてヤクルト、広島、巨人、近鉄などで活躍。ヤクルトコーチ時代は、野村克也監督のもと3度のリーグ優勝、2度の日本一を経験した。16年からは野球評論家、大阪観光大野球部のアドバイザーとして活躍している
著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。
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