高木豊がセ・リーグ各球団の交流戦を総括 「最も勢いをつけた」チームは? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【得点力不足の阪神に明るい兆し】

――セ・リーグは1位の広島から同率5位のヤクルトと中日まで6.5ゲーム差。どのチームにも優勝のチャンスがありそうですか?

高木 中日は今の状態のままであれば、チャンスがなくなっていくんじゃないかと。ほかのチームに離されかねない危ない状態だと思います。あと、巨人も少し心配です。交流戦最後の日本ハムとのカードでは勝ち越しましたが、その前は6連敗。チームが上向きかなと思っても、なかなか勢いがつかないんです。

たとえばホームランが何本か出たりして、ある程度点を取れて快勝できたら、以降は波に乗っていけるものなんです。でも、巨人の場合はいい勝ち方をした翌日に点が取れなかったりしたので、リーグ戦に戻っても苦しいと思いますよ。

――得点力不足では、阪神もその傾向が見られます。

高木 阪神は少し明るい兆しが見えてきたんじゃないかなと。ヒットの本数が増えてきているので。なかなか点には結びつけられていませんが、本数が増えているということはリーグ戦再開に向けて準備が整った感はあります。打順も近本光司を1番、中野拓夢を2番に戻し、渡邉諒に使える目処が立っている。木浪聖也が肩甲骨骨折で離脱してしまいましたが、前川右京もいいし、ちょっと上がり目があるなと見ています。

 阪神はこれまでピッチャー陣の頑張りで踏みとどまってきましたが、これから疲れが出始める時期にもなりますし、バッター陣がいかに援護できるかがポイントです。昨季のチャンピオンチームがどう巻き返していくか。交流戦の勢いそのままにDeNAが加速していくのか。広島は安定した戦いを続けていけるのか。混戦状態からどのチームが抜けだすのか注目ですね。

(パ・リーグ編:交流戦で心配になったパ・リーグの2球団 MVP水谷瞬らの評価は?>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

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プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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