松永浩美は「世界の盗塁王」福本豊のバッグを見て驚愕した「スパイク、こんなに持ってるんですか?」 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【「世界の盗塁王」のスパイクのこだわり】

――福本さんといえば「走塁の達人」というイメージですが、走塁に対するこだわりなどを感じましたか?

松永 キャンプの時に福本さんと同部屋の時があったのですが、福本さんのバッグの中にスパイクが6、7足も入っていたんです。「こんなに持ってるんですか?」と聞いたら、「これはあの球場用のスパイクで、これは違う球場用のスパイクで......」と。「雨が降った時にはグラウンドの土の質が変わるからな」とも言っていましたし、驚きましたね。

――球場ごとにスパイクを履き替えていたということですか?

松永 球場ごとに履き替えていたかまでは聞きませんでしたが、各球場の特性に合わせて対応していましたね。スパイクの歯の位置が違ったり、本数も3本のスパイクがあれば6本のスパイクもあったり。キャンプの時などは、歯の長さも長いのと中ぐらい、短いのと3種類ありましたね。福本さん曰く、「キャンプの過程において使うスパイクが変わる」とのことでした。

やっぱり"世界の福本"は違うなと思いましたよ。スパイクの材質にこだわる選手はいても、土の質でスパイクを履き替える選手はなかなかいないと思います。自分が見た時は6、7足でしたが、試合用と予備を常に持っているということだったので、全部で14、15足は持っていたんじゃないですか。

――松永さんも、いろいろなスパイクを試すことはありましたか?

松永 福本さんを見習って、歯が長いのと短いのと2種類を用意するようになりました。最初のうちは足の筋肉に負担をかけちゃいけないので、太ももとかに負荷がかかりにくい短い歯のスパイクを使って、筋肉が徐々に慣れてきたら長い歯のスパイクで負荷をかけてみたり。最後に、また短い歯のスパイクにしてみたりと、いろいろ試しましたね。

――ちなみに、阪急が巨人と日本シリーズで対戦した際、巨人の川上哲治監督が福本さんの盗塁を阻止するため、一塁ベース付近に水をまくように指示した、という話は本当ですか?

松永 その日本シリーズは、私がプロ入りする前ですね。福本さんと一緒にプレーしていた時は、そういうことはなかったんじゃないかな......。ただ、世の中には「嘘のような本当の話」と「本当のような嘘の話」もありますし、私が知らないだけで、何かあった可能性はありますけどね。

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