松永浩美は「世界の盗塁王」福本豊のバッグを見て驚愕した「スパイク、こんなに持ってるんですか?」 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【福本から教わった金言「おいあくま」】

――福本さんから聞いた、印象に残っている言葉などはありますか?

松永 「おいあくま」という言葉ですね。

――どんな意味ですか?

松永 「お」が「驕るな」、「い」が「威張るな」、「あ」が「焦るな」、「く」が「腐るな」、「ま」が「負けるな」。頭文字をとって「おいあくま」です。私が一軍の試合で活躍し始めた頃、福本さんから「先輩から教わった言葉なんやけど、マツに譲るわ」と教えてくれたんです。初めて聞いた時に「いい言葉だな」と思いましたし、現在自分が運営している野球塾でも、子供たちに教えることがあります。

――ちなみに、福本さんといえばユニークで親しみやすい人柄でもお馴染みですが、そういったエピソードもありますか?

松永 遠征で泊まることがあった品川プリンスホテルの中に24時間営業の飲食店があって、福本さんは外に飲みに行った後にホテルに戻ってくると、必ずその店でビールをもう一杯飲んでいました。その時に、女性の店員さんを「ねえちゃん!ねえちゃん!」って呼ぶんですよ。

 僕らは、福本さんに「ねえちゃんと呼ぶのはやめましょうよ。スターの福本豊が、深夜に店員さんを"ねえちゃん"なんて呼んだりしていたら、子供たちから憧れられなくなります。だからやめてください」と注意したことがあります(笑)。福本さんは「そうかぁ?」と言っていましたけどね。

(中編:「ホームランを打ったら罰金」だった? 世界一の盗塁を可能にしたある能力も松永浩美が語った>>)

【プロフィール】
松永浩美(まつなが・ひろみ)

1960年9月27日生まれ、福岡県出身。高校2年時に中退し、1978年に練習生として阪急に入団。1981年に1軍初出場を果たすと、俊足のスイッチヒッターとして活躍した。その後、FA制度の導入を提案し、阪神時代の1993年に自ら日本球界初のFA移籍第1号となってダイエーに移籍。1997年に退団するまで、現役生活で盗塁王1回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞4回などさまざまなタイトルを手にした。メジャーリーグへの挑戦を経て1998年に現役引退。引退後は、小中学生を中心とした野球塾を設立し、BCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスでもコーチを務めた。2019年にはYouTubeチャンネルも開設するなど活躍の場を広げている。

◆松永浩美さんのYouTubeチャンネル「松永浩美チャンネル」

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プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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