元阪神ドリス「NPB復帰」を目指して高知で奮闘中 佐々木朗希世代「紀州の剛腕」にも好影響 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke

【多くの阪神ファンがドリス目当てに高知へ】

 ドリスがNPBに復帰できるかは、各球団の需要も大きく関わってくる。リーグ優勝やクライマックスシリーズ進出の争いに向け、リリーフの補強が必要という球団が出てきたら、5年ぶりの電撃復帰もあるかもしれない。

 デッドラインは支配下登録期限の7月31日。あと約3カ月のアピール期間が残される一方、ドリスはすでに高知球団に多くの好影響を与えているという。

 そのひとつが、ファンやメディアの注目度だ。もともと高知には阪神ファンも多く、タイガースで愛されたドミニカンへの期待は大きい。県外から応援に来たファンもいるという。

 同時に、チームメイトたちへのプラス効果も大きい。とりわけ刺激を受けているのが今年、注目を集める大型右腕の落合秀市(22歳)だ。

 和歌山東高校時代には「紀州の剛腕」と呼ばれて2019年のドラフト候補にも挙がったなか、指名漏れで一般企業への就職を表明。一転して決めた関西独立リーグの入団会見を「進路に迷いがある」と欠席したことでも話題になった。今年合同トライアウトで高知球団に入団し、その先にNPB入りを目指している。

 4月16日、敵地での香川オリーブガイナーズ戦で落合が今季初セーブを挙げた裏には、ドリスのアドバイスがあった。

「マウンドがいつもの球場より高いから、これまでのような感覚で投げると、おそらくボールが1、2球分くらい高く浮いてしまう。最初から少し低めを意識して投げたほうがいい」

 落合はその前回登板で敗戦投手になったが、ドリスの助言もあって香川戦では3つのアウトをすべて三振で奪った。期待の剛腕にドリスも太鼓判を押していると、青木氏が語る。

「ドリスは落合に対し、『クローザーに抜擢されるのは強い真っすぐを投げられるということだから、変化球を多用するのではなく、真っすぐを軸にピッチングを組み立てていったほうがいい』とアドバイスしていました。

 落合は入団当初、球速141キロだったのが、トレーニングもして低めに148キロを投げるようになっています。ドリスは『落合は100マイル(約160キロ)くらい投げられるようなピッチャーになると思う』と話していました」

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