オリックス・山下舜平大から初勝利 西武打線は「日本で1、2を争うピッチャー」にどう挑んだのか (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 初球の外角低めのカーブはボール、2、3球目は155キロ、156キロのストレートが内角高めに続けて外れた。4球目は156キロの内角ストレートを見送った後、5球目は内角高めに156キロのストレートが外れる。

 一度もバットを振らずに一塁へ。山下が無駄な四球を与えた格好だが、外崎は対策を忠実に実行した。

「(ボールをしっかり見ていきたい気持ちは)多少ありましたね。ただ、目つけをしっかりしていたので、手を出しそうなところを我慢できたのがよかったと思います」

 カーブは無視、目つけを下げるという狙いがあったから、内角高めのボール球に手を出さずに済んだ。

 外崎は二死から出塁すると、4番ヘスス・アギラーの2球目で盗塁を成功させる。昨季リーグ3位の26盗塁を記録した外崎は見事なスタートで二塁を陥れたが、チームとしてたしかな狙いがあった。

「いいピッチャーなので、打つだけじゃなくて違うこともいろいろ仕掛けようという話がありました」

 直後、1ボール1ストライクで迎えた3球目、打席のアギラーは真ん中高めの155キロのストレートをライトにはじき返した。

「山下は初対戦だったけど、とてもいい投手だね。逆方向を意識して打ったことで得点することができてよかったよ」

 メジャー10年間で795試合に出場という実績を残る強打者は、来日以来、センターから逆方向中心の柔軟な打撃で評価を高めている。本人の言葉どおり、この打席でも「逆方向を意識」して貴重な先制点をもたらせた。

 その狙いがはまったことに加え、"勝負のあや"がもうひとつあった。メジャーに比べ、日本のストライクゾーンは両サイドと低めを広くとる一方、高めには厳しい傾向があるのだ。昨季西武に在籍したデビッド・マキノン(現在は韓国のサムスンに所属)もそう話していた。

 加えて、アギラーは190センチの長身だ。真ん中高めと言っても、山下の投じた結果球は高さ的にやや甘かった。さらに言えば、"フライボール革命"への対策としてメジャーでは真ん中高めを効果的に使う配球が増え、アギラーにとって"慣れた球"だった。

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