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T−岡田の複雑な胸中「やっぱりおもんないっすよ」 昨年0本塁打の元キングが今季にかける思い (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 とはいえ、この2年間で放ったホームランは1本。「あとがないと思っています」と語るベテランに、「開幕前に何を聞いているのか」と岡田ファンからも声が飛んできそうだが、それでも岡田の打席には「ひょっとすれば......」と、夢を見たくなるのだ。

 山崎の話を少し加えておくと、34歳で中日最後の年となった2002年シーズンの本塁打は2本だった。36歳でオリックスを退団した2004年も4本。多くの人は「ここまでか......」と思ったことだろう。それが楽天に移り、野村克也と出会い、頭と技術が改革され39歳で43本塁打。見事な再生だった。

 久しぶりいいコンディションで迎える開幕。36歳の今、飛距離について岡田はどう感じているのだろうか。

「そこは打ち方でも変わってきますけど......まぁ年相応という感じです」

 正直な感触を口にしたが、すぐに「でも、まだライト方向は......」と加えてきた。しっかりとらえればまだ飛びますよ、ということだ。京セラドームの5階席まで飛ばしてきた打球は、今季何度フェンスの向こうへ落ちていくだろう。

後編につづく>>


T−岡田(本名:岡田貴弘)/1988年2月9日、大阪府生まれ。履正社高から2005年の高校生ドラフト1巡目でオリックスから指名を受け入団。プロ5年目の10年、ノーステップ打法でブレイクし、33本塁打を放ち初のタイトルを獲得。翌年は開幕4番を任されるも16本塁打に終わる。21年は17本塁打を放つも、翌年はケガもあり1本塁打。23年はチームが3連覇を果たすなか、0本塁打に終わった。

著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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