岩田稔が2024年のタイガースを徹底分析 オープン戦最下位でも球団初の連覇に太鼓判 (3ページ目)
── ほぼ昨年と同じオーダーですが、6番に前川選手を入れました。
岩田 前川は今年期待のひとりです。岡田監督のなかには連覇はもちろん、"常勝タイガース"を築きたいという思いがあるはず。昨年日本一のメンバーは比較的年齢も若く、まだ世代交代という時期ではないのですが、前川や井上(広大)といった若い選手を今のうちに育てておきたいと思うんです。前川は昨年も何試合かスタメンを経験しましたが、今年はもっと試合数を増やして、レギュラーを獲る気持ちでやってもらいたいです。
── 今年のタイガース打線のなかで、岩田さんがポイントに挙げる選手は?
岩田 テル(佐藤輝明)ですね。甲子園の浜風関係なく、スタンドに放り込める長打力はやっぱり魅力です。前を打つ大山は出塁率が高く、チャンスでテルに回ってくる場面が多い。ここでしっかり結果を残せば、阪神打線はさらに強力になります。昨年まではミスショットが多く、1球で仕留められなかったのですが、キャンプ、オープン戦を見ているとしっかりととらえている。テルが3割近く打率を残せば、自ずと本塁打、打点も増えると思います。
── 佐藤選手に期待する数字は?
岩田 打率3割、本塁打30本、打点は100です。まったく不可能な目標ではないと思います。テルがこれくらい打てば、相手バッテリーにかかるプレッシャーも大きくなりますし、違った形で得点のチャンスが広がる。
── キャッチャーは、昨年はシーズン終盤に梅野隆太郎選手がケガをするまでは、坂本誠志郎選手と併用でした。今年も併用するのか、それともひとりに任せるのか?
岩田 今年に関しては、坂本がメインになると思います。昨年は日本シリーズという舞台を経験し、キャッチャーとして大きく成長しました。ただ143試合をひとりに任せるのは、さすがに厳しい。その時に梅野を使うのか、それともほかのキャッチャーでいくのか。
── 昨年は2位に15ゲーム差をつけるなど独走しましたが、今年はどんな展開になると予想しますか。
岩田 ほかのチームも「打倒・阪神」で向かってくるでしょうし、戦力も補強している。シーズンが始まってみないとわからない部分はありますが、昨年のような展開にはならないと思います。ただ、先発が7回2失点以内に抑える投球を続けられたら、独走する可能性はあります。戦力的に見ても、ちょっと抜けている気がしますね。
岩田稔(いわた・みのる)/1983年10月31日、大阪府生まれ。大阪桐蔭高から関西大を経て、2005年に大学・社会人ドラフト希望枠で阪神に入団。3年目の08年に10勝を挙げて左のエースに成長。09年には第2回WBCの日本代表に選ばれ、世界一を経験。21年まで現役を続け、通算60勝82敗、防御率3.38。22年から阪神のコミュニティアンバサダー(CA)、日刊スポーツの野球評論家に就任。また1型糖尿病患者として、セルフマネジメントや1型糖尿病の認知拡大に向け、全国で講演を行なっている
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