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WBC秘話 ダルビッシュ有から突然届いたメッセージ 戸郷翔征が語る伝説の「宇田川会」【WBC2023】 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

「アメリカの球場でメジャーの選手に投げていたら、初心を取り戻した気がしました。僕がプロになりたいと思ったのは(宮崎の聖心ウルスラ学園)高校2年の夏、甲子園に出場してあのマウンドを踏んだからです。今回、マイアミでメジャーの球場のマウンドを踏んで、最高峰の舞台を目指したいと心の底から思いました。アメリカって、野球を純粋に楽しみながらプレーしているんだなって感じなんですよね。ダルビッシュ(有)さんの話を聞いていても、そこは肌で感じました。野球に対していろんなことを想定しながら、試合でも練習でも枝葉を広げて取り組んでいる感じがして......。

 今回も、たとえばダルビッシュさんって普段は40メートルの距離でしか投げないらしいんですけど、僕が遠投するという話を聞いたら、『じゃあ、僕もやってみよう』って遠投するんです。『戸郷くんはなぜ遠投するの?』と訊かれたので、『僕は近い距離だとある程度の球は行くけど、遠投するとシュート回転したり失速したり、しっかり力が伝わっていないことがわかるから、身体を使っていい回転で投げられているのかを確認をするためにやってます』と答えました。それを聞いてすぐやってみるって、すごくないですか? しかもダルビッシュさん、普段は遠投していないのに、遠投の球の軌道が化けもので、ものすごく強いボールを投げるんです。時々、ダルビッシュさんが『あ、全然アカンわ』とか言うんですけど、全然、アカンくない(笑)。一瞬で『負けたな』と思いました」

【宇田川会の舞台裏】

 じつは宮崎での日本代表の強化合宿が始まる前々日、戸郷のインスタグラムに一通のダイレクトメッセージが届いている。

「それがダルビッシュさんからでした。しかも『よろしくお願いします』って、丁寧な挨拶だったんですよね。もう、ビックリどころじゃないくらいビックリしました。集合前に一緒に練習するという話にはなっていましたが、お目にかかったらどんな話をしようかと考えている時に携帯が鳴ったので、本当に驚きました」

 その日の夜、戸郷はさっそくWBCに選ばれていたジャイアンツ勢とダルビッシュとの食事をセッティングした。戸郷が宮崎出身だからだ。

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