WBC侍ジャパン世界一達成の地で39歳バレンティン発見! カリビアンシリーズでいまだ実力健在

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

 メジャーキャンプ直前の2月上旬。昨年3月に侍ジャパンがWBCで世界一に輝いた舞台(マイアミのローンデポパーク)でラテンアメリカ野球最大の祭典が行なわれた。その祭典とは、ウインターリーグの各国チャンピオンが集うカリビアンシリーズだ。

 かつては大物メジャーリーガーも参加していたウインターリーグだが、選手の年俸が天文学的な数字となった昨今、最高でも月100万円ほどの報酬のためにプレーすることはない。ここに集うのは、メジャーへの昇格を目指すマイナーリーガーか、FAとなって次の行き先を模索中のベテランメジャーリーガー、さらに北半球のプロリーグでプレーできない地元選手たちだ。

 それでも各リーグのチャンピオンが冬の王者を決めるこの大会は、各国とも補強選手制度を最大限に使い、"ナショナルチーム"を編成して臨む。ひと昔前までは、この大会に参加するのはベネズエラ、ドミニカ共和国、プエルトリコ、メキシコの"ビッグ4"のみだったが、ここ数年はウインターリーグを復活、もしくは新たに創設させた国も参加するようになり、大会はより注目を浴びるようになってきた。

カリビアンシリーズに参加したウラディミール・バレンティン photo by Asa Satoshiカリビアンシリーズに参加したウラディミール・バレンティン photo by Asa Satoshiこの記事に関連する写真を見る

【昨年WBCでもオランダ代表で参加】

 今年は、昨年WBC本戦に初出場を果たしたニカラグアと、前年セミプロリーグとして初参加し、この冬にプロリーグを発足させたキュラソーが参加した。

 カリブ海に浮かぶオランダ領のキュラソーは、今や「メジャーリーガー製造工場」と呼ばれるほど多くの選手をMLBに送り込んでいる。近年、世界の強豪国のひとつに数えられるようになったオランダだが、ナショナルチームのメンバーの多くはこのキュラソーにルーツを持っている。

 今回のカリビアンシリーズのメンバーにも、ジョナサン・スコープ、ディディ・グレゴリウス、アンドレルトン・シモンズ、ジュリクソン・プロファーといった錚々たる顔ぶれが名を連ねた。

 その豪華メンバーのなか、打線の中核を担ったのが、かつてヤクルト、ソフトバンクでプレーし、ヤクルト時代の2013年に日本プロ野球シーズン本塁打新記録となる60本塁打を放ったウラディミール・バレンティンだ。

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著者プロフィール

  • 阿佐 智

    阿佐 智 (あさ・さとし)

    これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。

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