2024年プロ野球新外国人野手の過去を紐解く 「バケモノ」と呼ばれるパワーの持ち主は?
NPB新外国人選手の過去を紐解く(野手編)
2月からNPBの各球団はキャンプをスタートさせ、自主トレで調整してきた選手たちの仕上がり具合も徐々に報じられてきている。この時期に気になるニュースのひとつは、今シーズンからNPBの舞台でプレーする「新助っ人」の存在だ。
彼らの実力はいかほどのものか──。NPBでの実績がないぶん、未知なる部分に期待も大きく膨らむ。日本にやってくる彼らがアメリカでどんな活躍をしてきたのか、過去の成績や評価を振り返りながら新助っ人の能力を探ってみる。
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日本ハムのフランミル・レイエスはMLB通算108本塁打 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る 今シーズンから日本プロ野球でプレーする選手のうち、ルーグネッド・オドーア(読売ジャイアンツ/内野手/30歳)、ヘスス・アギラー(埼玉西武ライオンズ/内野手/33歳)、フランミル・レイエス(北海道日本ハムファイターズ/外野手/28歳)の3人は、メジャーリーグで1シーズンに30本以上のホームランを打ったことがある。
オドーアはテキサス・レンジャーズ時代の2016年=33本塁打、2017年=30本塁打、2019年=30本塁打。アギラーは2018年にミルウォーキー・ブルワーズで35本塁打。レイエスは2019年にサンディエゴ・パドレスとクリーブランド・インディアンズで計37本塁打と、2021年にインディアンズで30本塁打を記録した。
レンジャーズは2017年の開幕直前に、オドーアと6年4950万ドル(約55億円/2017年〜2022年)に1年の球団オプションと馬2頭がつく延長契約を交わした。この時の『AP通信』の記事によると、ジョン・ダニエルズGM(当時)はオドーアについて「彼は23歳で、すでに最高のミドル・インフィルダーのひとり。可能性は無限大」と語ったという。
契約延長後もオドーアはパワーを発揮し、契約1年目と3年目に30本のホームランを打った。ただ、打撃の「質」は向上せず、むしろ低下した。30本塁打以上の3シーズンを比べると、2016年の打率.271と出塁率.296に対し、2017年は打率.204と出塁率.252、2019年は打率.205と出塁率.283だ。打率もそうだが、出塁率が極めて低い。一方、2018年は打率.253と自己ベストの出塁率.326ながら、ホームランは18本にとどまった。
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プロフィール
宇根夏樹 (うね・なつき)
ベースボール・ライター。1968年生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。