松坂大輔と黄金バッテリーを組んだ細川亨 目からウロコだった「西武の捕手の座り方」 (2ページ目)
【投手陣に怒られながら配球を勉強】
── 当時の西武のキャッチャー陣は、レギュラーの伊東勤さん、和田一浩さん、野田浩輔さんという布陣でした。どんな捕手を目指していたのですか。
細川 それ以前の話でした。捕手歴は高校3年からだったので浅かったですし、二塁送球の際のステップもろくにわからず、肩の強さだけで投げていました。それに配球なんて言わずもがなです。投手陣に怒られながら教えていただき、覚えていきました。
── 2002年、プロ初出場の試合で石井貴さん、三井浩二さんをリードして完封リレーに導きました。2003年は松坂大輔さんの専任捕手的な存在となり、2004年に116試合に出場して、チームも優勝。2006年には12球団トップの盗塁阻止率をマークしました。
細川 プロでやっていけると自信めいたものが生まれたのは、プロ7年目(2008年)に133試合に出場して、16本塁打を放った年です。その一昨年前のオフに監督だった伊東勤さんから誕生日プレゼントとして「27」の背番号をいただきました。最高にうれしくて、それなりの覚悟を持って2007年のシーズンに臨んだのですが、チームは26年ぶりBクラスに沈み、伊東さんはその年限りで監督を退任しました。翌年、渡辺久信さんが新監督となり、リーグ優勝、日本一を達成し、少しは恩返しできたかなと。
── 森祇晶さん、伊東勤さんと連なる「名捕手の系譜」「技術論」は興味深いです。
細川 まず"西武の捕手の座り方"から教えてもらいました。もともとブロッキングには自信があったのですが、座り方、足の構え方を教わると「ワンバウンドを止めるのは、こんなにも簡単なのか」と、まさに目からウロコでした。
── 西武の捕手の座り方というのは、具体的にどのようなものなのですか。
細川 まず背後に壁があるとイメージして、まっすぐ座ります。すると、両足の裏にねじれができて、反発しあうことで前後左右に動きやすくなります。内野手がゴロを捕る時にフットワークを使いますが、捕手は座った姿勢でその状態をつくるのです。「言うは易く、行なうは難し」でしたが、2006年は捕逸0。そんなことが実践できたのだと思います。またスローイングに関しては「おまえは強肩なんだから、ヒジから先だけで投げろ。送球の強さよりコントロールだ」とアドバイスされました。
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