新人王のオリックス・山下舜平大が「あ、これだな」と思った瞬間 最速155キロにアップ (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

── 当時の優先順位は「甲子園」より「プロ」だった?

山下 それしかなかったです。もうひとつ(東日本開催)の会場は東京ドームでしたけど、そっちでもよかったです。たとえ地方の球場だろうと行っていました。

── 高校時代をストレートとカーブの2球種で通したのは、八木啓伸監督の方針だったと報じられてきました。これは事実でしょうか?

山下 そうですね......。よく覚えてなくて、監督と答え合わせしなくちゃいけないんですけど(笑)。高校1年秋にストレートがダメで、変化球を結構打たれた練習試合があったんです。その時にキャッチャーと一緒に監督に呼ばれて、「何を打たれたんだ?」と聞かれて「スライダーです」「チェンジアップです」みたいに答えたら、「もう(変化球を投げるのを)やめてしまえ。打たれてもいいから真っすぐいけよ」と言われて。最初は「怒られ」から始まった気がします。仮にあの試合で抑えていたら、どうなっていたのか......(笑)。

── 「結果オーライ」だった?

山下 そうかもしれないです。

── でも、山下投手に「大きなピッチャーに育ってもらいたい」という願いがあったのでは?

山下 自分は変化球を投げる投手が「小さい」とは思わないですが、監督のなかに「真っすぐで押せるパワーピッチャーになってほしい」という思いはあったと思います。それは自分も思っていたので。

── 結果的に、球種をカーブだけに絞ったからこそ今があるのでは?

山下 スライダーとチェンジアップを投げていてもよくなっていたとは思うんですけど、「カーブだけにした」のはよかったと思います。

── カーブがポイントだった理由は何ですか?

山下 カーブって難しくて、投げたいと思っても投げられない人も多いので。最近になって「カーブに時間を使ってよかったな」と思うようになりました。これがストレートとスライダーだけに絞っていたら、全然違うタイプになっていたと思います。

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