山本由伸・山崎福也の穴を埋めるのは誰か 星野伸之が考える来季のオリックス先発陣 (4ページ目)
――このオフに黒木優太投手とのトレードで加入した、元日本ハムの吉田輝星投手の先発もありうる?
星野 高校時代に伸びのあるすばらしい真っ直ぐを投げていたので、何が悪くて伸び悩んでいるのかは本人に聞いてみなければわからないのですが......僕から見た感じだと、力み過ぎているような気がします。ここ1、2年はほとんどがリリーフでの起用で、短いイニングを投げていたからそう見えたのかもしれませんが。
真っ直ぐは150kmを投げる感覚ではなく、145kmぐらいを投げる感覚でいいんじゃないかと。それでバッターが振り遅れる感覚があれば球のキレがある証拠ですし、体力の消耗も少ない。力みが取れたら制球も安定します。その感覚が掴めたら先発も務まるのかなと。先発の場合は常に全力ではなく、要所要所でギアを入れていく意識が大事ですから。
ただ、先発よりもリリーフに適正がある可能性もありますし、その場合は小木田敦也らを先発に回すことも考えるのか......。そのあたりは中嶋監督の眼力で判断すると思いますが、ほぼ7回まで投げてくれていた由伸がいなくなるので、リリーフは厚めにしておきたいところですし、判断はかなり難しそうです。
――オリックスは若くして完成度が高く、球威のあるピッチャーが次々に出てきています。吉田投手にしろ、現役ドラフトで加入した鈴木博志投手(元中日)にしろ、いい刺激を受けそうですね。
星野 そうですね。球が速くてストライクが入らないピッチャーは他球団にもたくさんいますが、オリックスの場合は球が速い上にコースに投げ切ることができるピッチャーが多く出てきています。口で言うのは簡単ですが、オリックスはそういうピッチャーを育成するためのトレーニング方法や育成メソッドが確立されているんでしょうね。中嶋監督は吉田や鈴木などにもチャンスを与えてくれると思いますし、競争心を持って高め合っていってほしいですね。
(野手編:オリックス打線は西川龍馬の加入でどう変わる? 打順や個々の役割を分析>>)
【プロフィール】
星野伸之(ほしの・のぶゆき)
1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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