2度目のトライアウトで会心の一発 戦力外から1年、元ヤクルト・中山翔太が示した成長の証 (2ページ目)
元DeNA・笠原祥太郎との対戦。低めに決まった直球をすくい上げると、打球は高い弾道を描いてレフトスタンドに突き刺さった。
「角度もよかったんで、いくかなとは思いました」
ゆっくりダイヤモンドを一周すると、一塁ランナーだった元チームメイト・松井聖(元ヤクルト育成)や、中川拓真(元オリックス)らと喜びを分かちあった。
中山本人は「(トライアウトの自己採点は)85点くらいです(笑)。(残りの15点は)ホームランのあと、もう1本打ちたかったので。そこがちょっと」と満足気にうなずいていた。
【中山翔太を支えた偉大な先輩たち】
この日のホームランは、中山の努力だけで生まれたものではない。
中山には恩人がいる。近鉄、オリックス、ヤクルトで活躍した坂口智隆だ。昨年、中山が戦力外通告を受けた時に坂口は打撃投手を買って出るなど、中山のサポートを続けていたという。その関係は、中山が独立リーガーとなったあとも変わらなかった。
「月に1回なんですけど、独立のチームに教えに来られていたんで。その時にお食事とかも連れて行ってくれたり、トライアウト前日も『頑張れよ』って連絡をくれたり、親身になってくれていました」
坂口だけではない。
「内川(聖一)さんも(独立で)同じリーグだったので、すごく気にかけてくれました。青木(宣親)さんも連絡をくれたり......応援してくれているなって。ありがたかったですね」
独立リーグで過ごした1年で「技術的にもメンタル的にもかなり成長できたかなと思う」と語る中山だが、そのバックには偉大なプレーヤーたちの姿があった。
中山が活躍したこの日、解説席でグラウンドを見守っていたのは奇しくも坂口だった。
【ほかの参加者とは違った独特のオーラ】
なぜ、中山はここまで多くの人に目をかけられているのか。その答えは、インタビューを重ねるうちに何となく感じられてくる。
こちらが投げた質問に対する中山の答えは、シンプルなものが多い。はっきりと、簡潔にコメントする。そこにはいい意味で、マスコミ受けやファン受けを狙わない純粋さが滲み出ている気がする。ひと言で言えば、素直なコメントが多いのだ。
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