ヤクルトが投手再建へドラフトで指名した3人 パワー型・西舘昂汰への期待 (3ページ目)
担当の中西親志スカウトは昨年春、安西とバッテリーを組んでいた頃からネット裏最前列で鈴木のプレーにじっと目を凝らしていたのだから、選手、スカウト双方にとってうれしい指名になったのではないか。
その鈴木だが、甘いボールは軽々スタンドに放り込める打力は2年時からあったし、二塁走者がちょっとでもぼんやりしていると、矢のような送球であっさり刺してみせる。強肩もさることながら、一瞬の判断と思いきりのよさが彼の財産だ。
今年のBCリーグの遊撃手は、伊藤琉偉と金子功児(埼玉武蔵ヒートベアーズ/西武育成4位)が双璧と見られていた。
群馬の高校生で「うまいなぁ」と記憶に残る遊撃手は、まず健大高崎の湯浅大(現・巨人)なのだが、東農大二高当時の伊藤も、湯浅の次ぐらいにうまかった。動きが柔らかくて、ボディバランスが抜群。捕球姿勢に余裕があるから、スローイングに破綻がない。ちょっとすごい人を引き合いに出すと、ヤクルトの大先輩・宮本慎也氏タイプ。長岡秀樹、武岡龍世......ヤクルトの若手遊撃手争いは、来季、一段と激しさを増すはずだ。
著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。
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