ヤクルトが投手再建へドラフトで指名した3人 パワー型・西舘昂汰への期待 (2ページ目)
ちょうど昨年のいま頃、社会人野球の日本選手権でパナソニックを1安打、8奪三振で完封した松本の快投を見ている。
常時145キロ前後をマークしながら、カットボールをストレート代わりに使って、スライダー、フォークも打者の近くで鋭く動く。なにより、投げ損じの抜けたボールや失投のない投球が頼もしく、2023年の社会人はこの投手が"核"になる......そんな確信めいたものすらあった。
そこから1年間、常勝・トヨタの先発陣の一角として、エースの嘉陽宗一郎とともにコンスタントな投球を続けて、今夏の都市対抗でも3試合12イニングを投げて自責点0。優勝の原動力となった"実戦力"は間違いない。
石原を「整いつつある」と表現したのは、今年夏のオープン戦から秋のリーグ戦でメキメキと力をつけてきたからだ。
以前は力が入ると、首を振って帽子を飛ばす"熱投派"だったが、それがなくってからもスピードが落ちるわけでもなく、安定感はグッと増して、逆に右打者の懐に食い込んでくるクロスファイアーの切れ味は鋭くなったように感じた。
なぜか誰も振ってこない落差抜群の初球のカーブは、ストライクを計算できるし、打者のスイングをガタガタに崩せるチェンジアップは、学生にとっては"魔球"だ。どちらもプロで使えるボールだろう。
広陵高、明治大と絶対的エースとして勝ちまくるような成功体験がないから、ジャストミートされたり、走者を背負ったりすると、自分自身に対する確信が持てなくなるような場面があるが、そこを乗り越えることができれば、さらに期待は増す。
【遊撃手争いは激化】
1年先輩のサイドハンド右腕・安西叶翔(2022年日本ハム4位指名)のむちゃくちゃ動いて、しかもとんでもなく速いストレートを「怖い、怖い。痛い、痛い......」とこぼしながら懸命に受けていたのが、鈴木叶だ。
中日が2位で三菱重工Eastの遊撃手・津田啓史を指名したので、3位はこの鈴木でいくのかと思っていたら、仙台大の遊撃手・辻本倫太郎でもうワンプッシュ。次の日本ハムは上武大の捕手・進藤勇也を指名していたから、ヤクルトまで残っていた。
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