佐々木朗希の先発ピッチャーとしての働きは「50点」 ロッテOB清水直行が考える「殻を破る」ために必要なこと (4ページ目)
【「管理」と「本人の感覚」のバランス】
――投手が殻を破るためには、投げて鍛えていくことが重要?
清水 当然、首脳陣が管理することも重要ですが、僕は投げて鍛えていくほうを重視しています。数値では測れない本人の伸びしろ、本人の「もう少し投げられる」という感覚、投げていく中で身につける体力や投げ方など、そういったことを感じた上で本人が意思を表に出すようになるのを期待しています。
勘違いしてほしくないのは、「管理するのがダメだ」と言っているわけではないということ。僕の考えでは、80%が本人の感覚、20%がケガをしないための管理という割合。ただ、今はその逆のような気がしています。「俺はこれぐらいでいい」なんて思っていてほしくない。口に出さなくてもいいので、「ここまで辿り着きたい」という目標をブレずに持っていてほしいですし、管理されたままではいてほしくないなと思います。
――そういった気持ちはピッチングにも影響しますか?
清水 内に秘めているものは、ピッチングにも表れると思います。練習の取り組み方から、マウンド上の姿、試合後のコメントにも。先ほど小島投手の話をしましたが、今はロッテの先発の中で一番多くの試合を投げ、ふた桁勝ちました。
彼は、昨年のなかなか勝てない時期も、ずっと「絶対にエースになる」「ローテーションを守り切る」という強い気持ちを持っていたんでしょう。それが表情や、投げっぷりに表れてきましたね。佐々木投手にもそうなってほしいと思うので、来年はそこに期待したいです。
吉井監督は「中6日で150イニング」というノルマを掲げていますが、投げてみたら120球ぐらいで完投してくれた、ともなれば「これはいけるんじゃないか」とプランを見直すかもしれません。殻を破り、プランを変えさせるぐらいのピッチングを見せてほしいですね。
【プロフィール】
清水直行(しみず・なおゆき)
1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝府中から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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