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阪神38年ぶりの日本一を手繰り寄せた岡田彰布監督の勝負手 流れを変えた第4戦の湯浅京己投入 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

【ターニングポイントは第4戦】

 試合は中盤から一方的な展開になったが、勝敗を分けたのはわずかな差だった。ポイントを問われたオリックスの中嶋監督はこう答えている。

「ちょっとね、青柳(晃洋)くんを探りにいったところがあった。そこかなと思います」

 阪神の先発・青柳にストレート、ツーシーム、シンカー、カットボール、スライダーと横の変化をうまく使われ、的を絞り切れなかったのが響いた格好だ。6回から登板した3番手の伊藤将司に3イニングを無失点に抑えられると、反撃は最終回の頓宮裕真の一発に封じられた。

 試合後、京セラドームの半分を埋めた阪神ファンが日本一の歓喜に沸くなか、岡田監督は優勝監督インタビューで対戦相手を称えた。

「オリックス、強かったです。ホントにね。最後の最後までどっちに転ぶか分からない展開で。最後はちょっとタイガースに出たんですが、日本シリーズとして、今年のプロ野球の締めくくりとしていいゲームができたんで、ホントによかったと思います」

 戦前から力が拮抗していると見られた関西ダービーの頂上決戦は、大方の予想どおりの展開となった。両者の明暗を分けた差はどこにあったのか。試合後に問われると、オリックスの中嶋監督はこう答えた。

「コンディションの部分で言えば、本当によく出られたなというメンバーも多かったかな。そこをちゃんと(コンディションを)整えてあげられなかったのが、僕の責任ですし......本当によくグラウンドに立ってくれたと思います」

 主軸の杉本裕太郎がクライマックス・シリーズで左足首を負傷して第4戦までベンチ外となり、セットアッパーの山﨑颯一郎はコンディション不良で3、4戦目をベンチから外れた。こうして出た歪みが重くのしかかった。

 7試合を終えて振り返った時、分岐点になったのが第4戦だった。阪神は3対3の8回裏、二死一、三塁の場面で右前腕筋挫傷、左脇腹筋挫傷などから139日ぶりの復帰となる湯浅京己をマウンドに送る。甲子園の大歓声を受けた湯浅は1球でこのピンチを凌ぐと、9回裏、阪神は大山のサヨナラ安打で劇的な勝利を飾った。

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