オリックス最強リリーフ陣が打たれたのはなぜか OB野田浩司が「継投策の是非」と「ピッチャー心理」などを解説 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva

 ただ宇田川投手は、第3戦、第4戦でも投げており、シーズン中には一度もなかった3連投になってしまった。気持ちの部分では大丈夫だったかもしれませんが、体が疲れていたのかもしれないですね。ボール自体は悪くなったのですが、森下選手に打たれたボールは引っかかってしまって低めにいってしまった。もう少し高めにいっていれば、空振りか、もしくはフライアウトになっていたと思います。ただあそこは、宇田川投手は狙って投げるというよりも思いきり腕を振る場面ですので仕方ないですね。

 それよりも7回の守備で致命的な失策で追加点を与えしまった森下選手が、何がなんでもバットに当ててやろうという執念が上回りました。打った森下選手が立派でした。

【第6戦をオリックスがとれば...】

 8回からの継投については賛否あると思いますが、オリックスはシーズンから先制してリリーフ陣で逃げきるというスタイルで勝ってきたチームです。そういう意味で、第5戦は普段どおりの野球ができていましたし、リリーフで勝負に出たのは当然だと思います。それよりも阪神打線の集中力、技術はさすがでした。

 大逆転勝利で対戦成績は阪神の3勝2敗となり、日本一に王手をかけました。この2試合の勝ち方を見ても、阪神に勢いがあるのは間違いありません。阪神としては、第6戦でなんとしても決めたいはずです。

 逆にオリックスは、第6戦で山本由伸投手に賭けるしかありません。ロッテとのクライマックス・シリーズ(CS)、日本シリーズ第1戦ともいつもの山本投手ではありませんでした。とはいえ、3年連続投手四冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振)を達成した選手です。前回の登板からこの1週間、微調整しているはずですし、本人も「このままでは終われない」と思っているはずです。

 山本投手としては、とにかく近本選手・中野選手の1、2番を出さないこと。彼らが出塁すると何かが起こる感じがありますし、精神的疲労も蓄積される。まずは初回、すんなりと抑えて自分のペースに持ち込みたいですね。

 山本投手で第6戦をとれれば逆王手となり、日本シリーズ連覇も見えてくる。数字上は阪神が圧倒的有利であるのは間違いないですが、今年の日本シリーズはこのまますんなり終わりそうな気がしません。最後の最後までもつれるシリーズになると思います。

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