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ドラフトの隠し玉たちを名物記者が推す 藤川球児クラスの逸材、滋賀の極細版ギータも (3ページ目)

  • 菊地高弘●構成 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

菊地 幕張総合という高校自体、高校野球ファンには馴染みが薄いですよね。

加藤 吹奏楽部の名門ですから(笑)。野球部はタワマンが建つなかで練習しています。好奇心旺盛でアイデアマンの柳田大輔監督との出会いも大きかったのでしょうね。どんな野球人生を歩んでいくのか楽しみです。

菊地 僕も隠し玉的な選手をひとり紹介させてください。滋賀に平田大樹(瀬田工高)という外野手がいまして、僕は「極細版ギータ」と呼んでいます。

加藤 「極細版ギータ」! ということは少しスリムなのかな?

菊地 そうなんです。柳田悠岐(ソフトバンク)を彷彿とさせる豪快なスイングをするんですが、その腕がガリガリに細いんです(笑)。今夏は181センチ、70キロだったと聞いていたんですが、夏場に体重が減ってしまったらしく今は67キロだそうです。高校生野手のドラフト候補で、身長が180センチ以上あって体重が60キロ台って近年なかったと思うんですけど。

加藤 そうめんばかり食べているのかな(笑)。

菊地 でも、そこも彼の伸びしろだと思うんです。足は速いし、肩は強い、いわゆるアスリート型外野手。昨秋にコロナに罹患して、髄膜炎を併発したこともあって秋から春にかけて試合にほとんど出られなかったんです。今夏はスカウトが勢ぞろいして視察に訪れていたんですが、野球ファンの知名度はほとんどない原石です。今は極細版ギータでも、体ができてくればとてつもない化け方をするかもしれません。

加藤 和田康士朗(ロッテ)の独立リーグ時代を思い出しますね。いやぁ、あらためて10月26日は運命の扉が開く日ですね。

菊地 野球界の歴史が動き、地響きが聞こえてくる日です。スポーツ紙もドラフト当日は大変ですよね。

加藤 一生忘れられないのは、2011年ドラフト会議。このネット社会でもはや隠し玉なんかいないと思っていたら、日本ハム7位で大嶋匠(早稲田大ソフトボール部)が指名されて......。ギャーッ! と発狂しました。顔写真がないから、明日の選手名鑑がつくれない......って。すぐさま所沢まで飛んで、なんとか写真を撮ることができました。今年もソフトボール部とか、軟式野球部とかあるかもしれないですよね。そんなサプライズ指名もお待ちしています!

菊地 ドラフト1位から隠し玉が発掘される下位指名まで目が離せないですね。ドラフト当日を楽しみに待ちましょう!

加藤弘士(かとう・ひろし)/1974年4月7日、茨城県水戸市生まれ。幼少期は鍵っ子で近所の茨城県営球場にて高校野球を観戦して過ごす。小4だった84年夏、木内幸男監督率いる取手二の全国制覇に衝撃を受ける。茨城中、水戸一高、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、97年に報知新聞社入社。「報知高校野球」の広告営業などを経て、2003年からアマチュア野球担当記者。アマチュア野球キャップ、巨人、楽天、日本ハム、西武の担当記者を務め、14年から野球デスク、20年からはデジタル編集デスク。9年間のデスク生活を終え、今年から編集委員として現場復帰。スポーツ報知公式YouTube「報知プロ野球チャンネル」のメインMCも務める。著書に「砂まみれの名将 野村克也の1140日」(新潮社)。趣味は昭和プロレスの考察

菊地高弘(きくち・たかひろ)/1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数

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