鉄平が落合博満の眼力、慧眼に驚き「おまえ、もともと左打ちじゃないだろう」と初めて指摘された (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

── 鉄平さんの猛練習が、落合監督にはうれしかったのでしょうね。そして落合監督も現役時代に夢に出てくるまでマシン打撃をやっていたということですね。

鉄平 そうだと思います。そして落合監督との最後の会話ですが、楽天に移籍した2006年です。開幕スタメンを果たした僕は、交流戦まで打率.280前後を打っていました。フルキャストスタジアム宮城(現・楽天モバイルパーク宮城)で中日戦があったので、落合監督にあいさつに行くと「鉄平、よく頑張っているな。おまえを(トレードで)出した甲斐があったよ」と。出場機会を与えようと、落合監督がトレードに出してくれたんだとその時に感じました。その言葉はうれしかったですし、心に響きました。その試合で1試合4安打をマークするのですが、そういう形で恩返しできてよかったです。

── 「落合野球」を表現すると、どんなものになりますか。

鉄平 スタイル自体は「守り勝つ」野球です。ただ、僕のなかで落合監督といえば"猛練習"です。練習はウソをつかない......いや、「練習したヤツが勝つんだ。誰よりも練習しろ」と。落合監督はそれを骨の髄まで染み込ませてくれた方ですね。

【野村監督が安物の張本勲と称賛】

── その落合監督に対し、野村監督は交流戦の試合前、「鉄平みたいないい選手をなぜ出したんだ?」と言っていたそうです。野村監督はどんな印象でしたか。

鉄平 最初から思い描いていた、物腰の柔らかいイメージどおりの方でした。感覚で物事を進めず、常に理論的に言葉や文章に落とし込む。春季キャンプでは毎晩ミーティングで"戦略"や"打者の4タイプ"などを教わりました。

── 打者の4タイプとは?

鉄平 A型(ストレート待ちで変化球に対応するタイプ)、B型(内角、外角のコースに的を絞るタイプ)、C型(流すか引っ張るか、打つ方向を決めるタイプ)、D型(球種にヤマを張るタイプ)の4つです。

── ちなみに鉄平さんはどのタイプだったのですか。

鉄平 2006年まではA型でした。以降はB型とC型の併用。D型はほとんど使わなかったです。野村監督1年目の2006年にいきなり打率3割をマークできましたが、その時は監督の教えをまだ完全に体現できていたわけでなく、首脳陣の方が我慢して使ってくれたおかげです。

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