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立浪中日に起きた「令和の米騒動」「10失点続投」に広岡達朗が言及 「信念がなく、思いつきでやるから騒ぎになるんだ」 (3ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Koike Yoshihiro

【管理野球を遂行した理由】

 広岡はヤクルト、西武の監督時代、あまりにも選手がやりたい放題だったため、禁酒、禁煙、炭酸飲料水まで禁止するなど、徹底した管理で締めつけた。当然、選手たちからは猛反発を食らった。西武の東尾修、田淵幸一はヤカンにビールを入れ、食事中にこっそり飲むなど、裏では徹底抗戦していた。だが、広岡はすべてお見通しだった。

「隠れて飲んでいることぐらい知っていた。休み前以外は絶対禁酒と言っておけば、多少は飲むかもしれんが、今までみたいに焼肉を食べながらビールをガバガバ飲むことはなくなるものだ。それが狙いだった。それに、選手があれこれと悪知恵であろうが頭を使うことは、とても大事なことなんだ」

 とにかく、今シーズンの中日は1948年、64年にマークした球団ワーストの83敗に迫ることもあってか、ネガティブな話題が提供されることが多く、迷走しているのは手にとるようにわかる。

 たとえば、WBCで優勝した栗山英樹氏は日本ハムの監督時代、選手がアドバイスを求めてきやすいように監督室のドアを開放していたと聞くし、元中日監督の落合博満氏は遠征での食事の際、選手が気を遣わないように首脳陣と選手を別テーブルにしていたそうだ。だが、立浪監督にはそういった話がいっさい聞こえてこない。

「練習中に立浪が『水を飲むな!』と声をかけたら選手が萎縮してしまったので、コーチが気を利かせて水分補給させたとか......そんな冗談だと思うような話ばかり耳に入ってくる。それは、コーチは気を利かせたんじゃなく、選手と首脳陣に距離があるという話だ」

【10失点続投の本質的な問題】

 そして話は、近藤廉の1イニング10失点に及んだ。

「あれだってマウンドに集まったのは一度だけで、内野陣はその時以外、声すらかけていなかった。そもそも今シーズン、マウンドに立浪やコーチが行く場面が極端に少ないように思う。ピッチャーはただでさえ孤立するポジションだし、今の選手はアフターケアが大事。これだけ負けているチームなんだから、きちんとフォローしてあげないと先がなくなるぞ。

 近藤は育成上がりで、2年ぶりの一軍登板だったと聞いた。世間では晒し投げと話題になったそうだが、3点目以降は2アウトから点をとられており、ああなってしまったら止められない。立浪は『勝ちパターンの投手しか残っていなかったので酷なことをした』とコメントしていたが、だったらなぜ出迎えてあげなかったんだ。投手コーチの落合(英二)はケツを叩いていたが、ベンチの端っこに座っていた近藤に声をかける首脳陣はいなかった。あんなことをやっていたら選手はつぶれるし、ほかの選手も首脳陣と距離を置いてしまう」

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