秋広優人はなぜ高卒3年目で巨人の3番に定着できたのか 「3つのターニングポイント」を振り返る (3ページ目)
一方で事実上、今季中の縦振り習得は断念した形になる。それでも、秋広は「無駄ではなかった」と前を向く。
「スイングのひとつの引き出しとして勉強できたので、いい時間を過ごせました。今のスイングだとボールの下をしっかり叩かないと打球が上がらないので、角度がつく確率は落ちると思います。いずれはもっと練習して、縦振りができるに越したことはないと考えています」
【中田翔からのアドバイスを実践】
ターニングポイント②
5月13日・広島戦(東京ドーム)プロ初の4安打マーク
続いて2番目のターニングポイントとして選んだのは、プロ初の4安打を記録した広島戦である。ただし、4安打といってもクリーンヒットはほとんどなし。バットの芯を外しながらヒットゾーンへ持っていったヒットばかりだった。
その点に触れると、秋広はうんうんとうなずいてこう述べた。
「フルスイングで100パーセント芯に当たればもちろんいいんですけど、プロのピッチャー相手ではそんなに甘くはないので。詰まりながらとか、粘りながら打つヒットはすごく大きいと思います」
そして、これはキャンプ中に「縦振り」と並行して秋広が取り組んできた課題でもあったという。ここにも中田からの影響がある。
「翔さんが『苦しい打ち方でなんとかヒットゾーンに飛ばす』と言っていたので、自分もやってみようと。それまではいい形でいい打球を打とうとやってきたんですけど、そういうやり方もあるんだなと。インコースの厳しい球に対して、逆方向に持っていくような練習をやっていました」
広島戦で放った4本目の安打は、レフト前にポトリと落ちる同点タイムリーヒット。原辰徳監督も高く評価する、逆方向にもヒットゾーンを持つ秋広らしい打球だった。秋広は「キャンプでやってきたことが今につながっているのかな」と語った。
【巨人打線の3番に定着】
ターニングポイント③
5月25日・DeNA戦(東京ドーム)初の3番起用
5月24日時点で.341と高打率をマークした秋広は、3番に抜擢される。その1打席目はレフト前に落ちる打球に。レフトが後逸する間に秋広は三塁を陥れ、幸先のいい3番デビューを飾る。以降は3番としての起用が続いている。
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