斎藤佑樹「北海道の人たちに毛嫌いされているんじゃないか...」たったひとりの日本ハムの入団会見に不安を抱いていた

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

連載「斎藤佑樹、野球の旅〜ハンカチ王子の告白」第33回

 2010年12月、斎藤佑樹が北海道へやってきた。ファイターズへの入団発表はテレビで生中継され、札幌ドームには8000人の観客が集まった。背番号18のユニフォームに身を包んだ斎藤は、拍手喝采のなかでマウンドへ上がり、梨田昌孝監督(肩書は当時のもの/以下同)に"プロ第一球"を投げ込んだ。

入団会見での斎藤佑樹(写真中央)。右は梨田昌孝監督、左は藤井純一球団社長入団会見での斎藤佑樹(写真中央)。右は梨田昌孝監督、左は藤井純一球団社長この記事に関連する写真を見る

【いよいよプロになるんだ】

 ドラフト会議でファイターズから1位で指名されたあと、50年ぶりの早慶による優勝決定戦で勝って、そのあとの明治神宮大会でも日本一になりました。周りは大騒ぎになって、落ちつかない感じが続きましたが、こういう騒がれ方をするのは早稲田が優勝したからなのか、僕がプロに行くことになったからなのか、よくわかっていなかったんです。

 でも、入団発表があった12月9日は札幌ドームにものすごい数の人が集まってくれて、ああ、これは僕がプロ野球選手になることで注目してもらっているんだなと感じることができました。シーズンオフで、試合もない札幌ドームにあんなにたくさんの人が集まってくれたんですから、それはビックリしますし、とてもうれしいかったですね。いよいよ大学生からプロになるんだと、あらためて実感したことを覚えています。

 日付ですか? ああ、そうですね、12月9日でした。たしかに僕が、あれは何日だった、と記憶しているのは珍しいかもしれませんね。8月21日(夏の甲子園で優勝した日)と11月3日(早慶優勝決定戦で勝った日)、あと12月9日だけは覚えているんです。どれもべつに暗証番号にしているわけじゃないんですけどね(笑)。

 あの入団発表が僕にとって特別だったのは、ほかの新人選手の入団発表はすでに終わっていて、12月9日は僕だけだったからです。僕だけうしろにずらしてもらって、ひとりで、というところのインパクトが強かったんだと思います。

 札幌には......小学6年生の時だったかな、家族旅行で行ったことがあります。時計台を見たことくらいしか覚えていません。札幌ドームは入団発表の時が初めてでした。すごくきれいで、とにかく広いなという記憶です。甲子園や神宮とはまったく違うイメージで、東京ドームとも受けた印象は違いました。鮮やかな緑で......写真で言うと、彩度を上げた緑(笑)。自然な緑がきれいな甲子園とは違う緑でした。

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