坂本勇人、球界初「ショートで2000試合出場」のすごさを解説〜井端弘和からの金言 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

── 坂本選手はこれまでゴールデングラブ賞を5度受賞していますが、遊撃手としての特徴はどういう点が挙げられますか。

井端 坂本選手は「打球への入り方」「捕球」「フットワーク」「スローイング」など、ほかの遊撃手と比べて滑らかな動きが特徴だと思います。これはリラックスして守れている証拠だと思いますが、捕球から送球までの一連の作業がじつにスムーズですよね。

── ショートといえば、二遊間や三遊間の打球が見せ場です。坂本選手の打球のさばき方はいかがですか。

井端 二遊間のゴロのさばき方は、若い頃からうまかったですね。私は2014年に中日から巨人に移籍し、2016年から巨人の内野守備コーチを務め、坂本選手と接しました。その頃、よく言っていたのが三遊間の打球に対してです。右足から左足、そして右足と順に足を運び、切り返して一塁送球するようアドバイスを送りました。今では二遊間の動きも三遊間の動きも遜色ないですね。

【最後までショートにこだわってほしい】

── 坂本選手のバッティングについてはどうですか。長いプロ野球の歴史のなかで、遊撃手が打撃3部門(首位打者、本塁打王、打点王)のタイトルを獲得したのはごくわずかしかいません。そのなかで坂本選手は2016年に首位打者に輝きました。

井端 打撃に関しては、いまさら言うこともないほどの実績を残しています。坂本選手は首位打者のタイトルを獲得しているだけでなく、右打者として史上最年少の31歳10カ月での通算2000安打を達成し、2019年にはシーズン40本塁打を記録。よく坂本選手は「内角打ちがうまい」と言われますが、そういうレベルを超越しています。これだけの結果を残しているのですから、内角打ちだけでなく、外角も変化球への対応もすばらしいです。球史に残る偉大なバッターです。

── 井端さんは2009年に34歳でゴールデンクラブ賞を受賞したあと、37歳となった2012年にも同賞を受賞されています。

井端 若いからとか、ベテランになったからということではなく、"無駄を省く"のがいいと思います。打撃ではみんなやるのですが、守備でも同じようにシンプルに打球に対して最短距離で入る。坂本選手には引退するまで、ずっとショートのポジションにこだわってほしいと思います。

井端弘和(いばた・ひろかず)/1975年生まれ。堀越高から亜細亜大を経て、98年ドラフト5位で中日に入団。遊撃手として、二塁手の荒木雅博との「アライバコンビ」で中日黄金期を支えた。14年に巨人に移籍し、15年限りで現役を引退。16年から18年まで巨人一軍内野守備走塁コーチを務める。ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞7度。22年1月に侍ジャパンU−12の代表監督に就任した

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