山本由伸が今年「捉えられる」理由を星野伸之が分析 リリーフ陣は1、2点差のビハインドで課題も (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――現状のリリーフ陣で一番の課題は?

星野 ビハインドの展開で誰に投げさせるか、特に逆転がある程度見込める1、2点のビハインドをどう我慢できるかの場面で送り出すピッチャーに、「もう少し安定したピッチャーが出てきてくれないかな」と悩んでいると思います。

 だから、当初は先発だった黒木優太をリリーフに回したのかなと。先発はある程度揃っているから、という理由もあったと思いますけどね。現状では本田、阿部、漆原、小木田敦也あたりへの期待があるのかもしれませんが、投げさせてみるとイマイチなので太鼓判を押せないんじゃないでしょうか。

――1、2点のビハインドで使うピッチャーは勝ちパターンでも使われたりしますし、起用する側も起用される側も大変ですね。

星野 僕もブルペンコーチをやっていた時に思いましたが、ビハインドの試合も勝ち試合も投げるとなると本当に大変なんです。用意しなければいけないシチュエーションが幅広くなってしまうので。

 よくあるケースが、試合の序盤から用意していたのに、結局は投げるのが7回や8回になること。長い時間ブルペンにいなきゃいけないし、投げる回数も多くなるので......。最初は調子がよくても、いざ投げるとなった時に調子が悪いこともありました。

 中嶋聡監督は就任1年目から、リリーフに2連投以上はさせていません。シーズン終盤の勝負どころでは3連投もあるかもしれませんが、基本的に2連投までです。ピッチャーがなんとか踏ん張って、そこから野手がワンチャンスを活かして逆転して勝ちを拾っていきたいですからね。
――チーム打率.258はリーグトップ。今シーズンは打線がつながっている印象です。

星野 そうですね。ビッグイニングを作るケースも例年より多いですし、ピッチャーには「どこかで打線がつながってくれる」という気持ちがあると思います。なので我慢ができるというか、ピッチングに粘りが出る。投打がかみ合っている要因でしょうね。

(後編:パ・リーグ新人王も期待できる若手ピッチャーたち オリの「新怪物」、西武のクローザー候補も>>)


【プロフィール】

星野伸之(ほしの・のぶゆき)

1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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