阪神は好調の背景に「アメとムチ」采配、巨人・坂本勇人は「復調すると思っていた」 真中満がセ・リーグ序盤戦を評価 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

●就任3年目を迎え、戦い方を変えた三浦ベイスターズ

ーー調子の上がらない青柳晃洋投手にファーム行きを命じるなど、勝負に対する厳しさも感じられます。岡田監督の選手起用についてはいかがですか?

 僕が印象的だったのは、ルーキーの森下翔太を開幕当初は積極的に起用したけど、「まだまだ力不足だ」と感じたらすぐにファームに落としました。でも、5月には再び試合に出る機会を与えています。

 アメとムチじゃないけど、「頑張っている選手にはきちんとチャンスを与える」という姿勢はいいですよね。これは、なかなか2勝目が挙げられなかった才木浩人のケースもそうでしたね。戦力に余裕があるからということもあるけれど、ドシっとした戦い方が印象的です。

プロ野球解説者の真中満氏 photo by Igarashi Kazuhiroプロ野球解説者の真中満氏 photo by Igarashi Kazuhiroこの記事に関連する写真を見るーー監督就任3年目を迎えた三浦大輔監督率いるDeNAはどう見ていますか?

 僕は開幕前の順位予想では、ベイスターズをBクラス予想だったんですけど、その理由の第一としては「先発投手陣の数は多いのに、なかなか全員がそろわない」ということでした。

 でも、今年は今永昇太を筆頭に、東克樹、石田健大、濱口遥大と左ピッチャーがみんな元気だし、そこに平良拳太郎に大貫晋一、さらにガゼルマンがいて、バウアーまで加わった。これだけそろっていれば、やっぱり強いですよね。

ーー開幕前の予想では、「なかなか機動力が使えない」ということも話していました。

 ベイスターズの攻撃は、いいバッターがそろっていて強力なんだけど、佐野恵太にしても、宮﨑敏郎にしても、あるいはソトにしても、足が使えないから、塁に出ても「各駅停車」だったんです。

 でも、関根大気が加わったことでかなり戦い方が変わってきたし、試合終盤では佐野や宮﨑に代走を出すケースも増えてきました。これは昨年までの三浦監督には見られなかった傾向だと思うので、この点もハマっていると思いますね。

ーー続いて巨人はどうでしょうか?

 ジャイアンツは先発投手が苦しいなかで、よく頑張っていると思いますね。頼りになるのは戸郷翔征だけだったけど、新加入のグリフィンが使えるめどが立ったこと、そして昨年から台頭し始めた山﨑伊織が続いて、育成出身の横川凱、松井颯が出てきました。

 彼らはまだ経験がないから今後については未知数だけど、爆発的な可能性も秘めているだけに、他球団としては脅威に感じているかもしれないですよね。

ーー開幕当初は、ベテランの坂本勇人選手が不振に苦しんでいましたが、尻上がりに調子を上げています。

 外野からは「坂本を外して、ルーキーの門脇誠を使え!」という声もあったけど、僕が監督だったとしても、まだまだ坂本を外すわけにはいかないですね。彼ならば、「いつかは復調するだろう」と思っていたし、実際にそうなりました。僕が期待しているのは秋広優人ですね。

ーープロ3年目にして、期待の逸材がいよいよ開花しつつあります。

 身長2メートルということで、どうしても大砲のイメージで見られがちだけど、彼の場合、低めのボールを見極めることができるのがいいですね。きちんとボール球を見逃すことができるので、あれならばアベレージも上がってきますよ。

 売り出し中の若手って、有利なカウントではカチンと打つことができるんだけど、追い込まれたらあっさり三振するケースが多い。でも、秋広の場合はそれがない。彼の好調ぶりは長続きしそうな感じがしますね。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る