阪神打線を関本賢太郎が分析 佐藤輝明の不調の原因、恐怖の「8番・木浪」、中野拓夢のセカンドコンバートなどを語った (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

【井上と森下は二軍に降格しても「プラス」】

――若手の井上広大選手、ルーキーの森下翔太選手はいかがですか?

関本 まず再び一軍に上がってきた森下選手は、プロ野球選手としての現在地がどこなのか、ということですね。二軍ではそれなりに打てていたと思いますが、一軍で通用しないのであればそれが現在地です。

 一軍のレギュラー陣は、自分の状態が悪くてもなんとかしている。仮に、森下選手がこの先もずっと一軍に居続けることができたら、「状態が悪くてもなんとかしよるな」と監督に思われたということでしょう。

 井上選手も同じです。以前に岡田監督と井上選手に関して話した時、「言うても、まだ(大学4年生と同じ歳で)4年目やからな」と言っていました。井上選手のプロ野球選手としての成長曲線を考えた時、4年目であれば50試合出られたら十分という考えなんです。森下選手もそう。いきなり140試合に出場させるわけではないと。

 たとえば50試合で100打席くらい立って、何本ヒットやホームランが打てて、何がよくて何が通用しなかったのか......そういうのを学んでいく時期だ、というのが岡田監督の考えなんです。

――関本さんも、プロ入りしてすぐの頃は同じような経験をしたんですか?

関本 そうですね。それぐらいの試合数で一軍に上がったり、二軍に落ちたりを繰り返して、「ここは通用したけど、ここは足りなかった」といったことの繰り返しでした。なので、今回は森下選手と入れ替わる形で井上選手が二軍に降格しましたが、一軍で感じたことを二軍で試してくればいいと思います。

――でも、井上選手は可能性を感じさせてくれました。

関本 ものすごく感じさせてくれましたね。森下選手も井上選手も、一軍のスタメンで出る、ゆくゆくはクリーンナップを打たないといけない選手です。なので、二軍降格はマイナスではなく、プラスに考えるべきです。

――もうすぐ、交流戦が始まりますね。

関本 リーグ戦では、一番"余っている"ライトを守るだろう選手が、交流戦でDHに入るはず。もしかしたら前川右京選手も入るかもしれないし、(ヨハン・)ミエセス選手も候補ですね。不器用そうですが、一生懸命さが伝わってきますし、打席での威圧感があります。

――野手陣の課題を挙げるとすれば?

関本 今はレギュラー陣が元気に働いていますが、この先にアクシデントがあって離脱する可能性もゼロではない。その時に慌てないように、バックアップの選手を準備しておく必要があるでしょうね。

(後編:村上頌樹は「上原浩治さんクラス」 関本賢太郎は盤石の先発ローテについて「みんなが表」>>)

【プロフィール】
関本賢太郎(せきもと・けんたろう)

1978年8月26日生まれ、奈良県出身。天理高校3年時に夏の甲子園大会に出場。1996年のドラフト2位で阪神タイガースに指名され、4年目の2000年に1軍初出場。2004年には2番打者として定着し、打率.316の高打率を記録した。2007年には804連続守備機会無失策のセ・リーグ新記録を樹立。2010年以降は勝負強さを買われ代打の神様として勝負所で起用される。2015年限りで現役を引退後、解説者などで活躍している。通算1272試合に出場、807安打、48本塁打、312打点。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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