西武の「打のキーマン」を石毛宏典が分析 外崎修汰の復活の理由、「1番固定」に期待の愛斗に足りない部分も語った (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――今シーズンはすでに6本塁打と、長打も増えている印象です。

石毛 それも打つポイントが前になっているからでしょうね。以前から、前の腕(左腕)は緩むことなくしっかりと張れていましたし、スイングそのものは常にいいんです。ただ、懸念していたのは「ポイントが近いバッターだな」ということ。ポイントが前にいけばヘッドを走らせる距離ができますし、ヘッドスピードも増していくので、「長打も打てるだろう。打率も上がっていくだろう」とは感じていました。

――今はヘッドが走っている?

石毛 そうですね。ただ、もともとヘッドの使い方はうまいですよ。ヘッドが立っているので球威に負けないスイングができる。だから、体が大きくない割には打球を飛ばせるんです。ヘッドの使い方も含めて基本の打ち方は変わっていないので、タイミングを取るコツ、意識しなくても前のポイントで打てる何かを掴んだんだと思います。

【1番を打つ愛斗にとっては「かなり大事なシーズン」】

――石毛さんは「強いチームには、いい1番打者がいる」と言われていて、「西武は1番打者を固定できていない」と課題を挙げていました。今シーズンは4試合目からこれまで愛斗選手が1番打者を務めています。

石毛 一時は打率も3割を超えていて、走塁の積極性も目立ちます。守備もいいし、ガッツもある。頑張っていると思います。ただ、1番打者であれば出塁率(.289)を上げていかなければなりません。出塁率.350くらいをキープしていくことが目安になるかと思いますが、そこをクリアすることが課題のひとつでしょうね。

――バッティングはどう見ていますか?

石毛 バットを短く持っている割に打球は飛びますね。外崎と同じように、左足を上げて踏み込んでいく時に前の腕(左腕)をしっかりと張れているのですが、そうすると飛距離が出やすくなる。課題を挙げるのであれば、バットが体からちょっと離れ気味になってしまうことです。

 肩や首の付近(体の近く)からバットがスッと出ていけばいいのですが、体から離れるとバットが遠回りしてしまうドアスイングになって、インパクトまでの到達が遅くなり、差し込まれてしまいます。体の近くからバットを出すようにスイングすれば、スムーズにバットが出るようになりますし、振り遅れや打ち損じなども減らせると思います。

 ドアスイングだとほとんどの球に詰まってしまいますが、グリップが先に出てバットの先が後から出るインサイドアウトで振ればヘッドが走るので、多少は差し込まれてもファウルで逃げることができます。先っぽに当たっても対処できるようになりますし、そうなると必然的に打率も上がっていくと思いますよ。

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