辻発彦がすごいと思った8人の好打者「いいバッターは引っ張れる」「打撃向上のコツはインサイドアウト」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

【いい打者は引っ張れる】

── 辻さんは「引っ張れるのはいい打者」という持論があるとお聞きしました。

辻 バットのグリップエンドが、体の近くを巻きつくように出ていかないと引っ張れない。ヘッドが遠回りしなければ引っ張れるし、打球も上がる。そういう打者は自然と右にも打てます。そういう意味で、「引っ張れるのはいい打者」ということです。

── プロ入り時の源田壮亮選手にもアドバイスしたと聞きました。

 源田は打力が弱かったという人がいますが、そんなことないです。源田の打撃を初めて見た時、「コイツはいけるな」と思ったので、「反対方向に打つ必要はないよ。引っ張っていいんだよ」という話をしました。社会人時代(トヨタ自動車)は、反対方向への打撃を意識して打っていたそうです。源田は、内角はかなり強いですよ。

── 辻さんはヤクルト移籍1年目の96年に、打率.333でセ・リーグ2位の高打率を残しています。セ・パの投手の違いはありましたか。

 西武が強かった時代は"包囲網"が敷かれ、阿波野秀幸(近鉄)、野茂英雄(近鉄)、伊良部秀輝(ロッテ)といったエース級との対戦が多く、打撃は鍛えられました。パ・リーグのほうが2番手、3番手でも球威のある投手が多かった。一方、セ・リーグは変化球を低めに集めるというイメージでした。96年に高打率を残せたのは、意地もありました。両リーグで首位打者を獲れば、江藤慎一さん(64年中日、71年ロッテ)以来だったそうなので、惜しかったですね。
※その後、内川聖一が08年横浜、11年ソフトバンクで達成

【辻発彦が選ぶ好打者8人】

── 最近は「フライボール革命」がもてはやされ、角度が26〜30度で上がった打球が、本塁打を含むヒットになりやすいとされています。スイングのレベル、アッパー、ダウンの違いをどう考えられていますか。

 低めのボールは上から打てないです。逆に、高めのボールは下から打たないでしょう。だから、ふつうにレベルで振ることしか考えていませんでした。ボールの軌道、ラインに対してバットを入れてやるというイメージしかなかったですね。それにしても野球が変わってきましたよね。

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