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韓国野球のリアル「護身と競争のない世界」日本の宿敵はなぜ凋落してしまったのか (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Getty Images

【韓国野球の復権はあるか】

 それでも意地はある。WBCでの日韓戦で先発したキム・グァンヒョンは140キロ台後半のストレートと落ちるスライダーを巧みに使って2回までに5奪三振。3回表には味方がダルビッシュ有から3点を奪い、主導権を握ったかと思った。しかし3回裏、キム・グァンヒョンは突如崩れた。ラーズ・ヌートバー、近藤健介らの長短打などで一気に4点を奪われ逆転。

 じつは、キム・グァンヒョンが崩れたのには理由があった。3回の韓国の攻撃は、あわや打者一巡の長いものとなった。この間、ただ戦況を見つめていたキム・グァンヒョンは体を冷やしてしまったのだ。関係者が重い口を開く。

「あの攻撃時、誰かがキム・グァンヒョンに『体を冷やすな』『暖めておけ』と助言していたら......」

 そのキム・グァンヒョンだが、日本戦の先発は、前日のオーストラリア戦に敗れたあとに告げられた。そんな突然の変更を強いられたのは、監督が期待していた投手のコンディションが上がらなかったためだ。

 2月中旬から行なっていたアリゾナでの直前合宿から、ボールの走らない投手が多かった。時間が経てば状況が変わってくると期待したが、来日しても調子は上がらない。結果、頼れるのは34歳のベテラン左腕だけだった。

 いま韓国ではバッシングとともに、多くの検証記事があふれている。なかには「韓国野球復活の手段は......」といったものもある。こうした批判に対し、一時は反省するが、結局は何も変わらず......を繰り返してきた。今回も1次リーグ敗退という現実を、どこまで重く受け止めているかはわからない。

 韓国が再び日本の宿敵として立ちはだかる日はやってくるのだろうか。もはや、ライバルの背中さえ見えないところまできてしまった。

著者プロフィール

  • 木村公一

    木村公一 (きむらこういち)

    獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

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