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ダルビッシュ有とキム・グァンヒョン...14年前の歓喜と屈辱を経ての再戦 「こういう機会は最後かもしれない」の思いを胸に投げた (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Sankei Visual

 キム・グァンヒョンも、初回に続き2回も岡本和真、牧秀悟を連続三振に打ちとるなど、完璧なピッチングを披露。シーズンでも見ないほどの好調ぶりは、一方で飛ばしすぎのようにも感じられた。

 案の定、3回に源田壮亮、中村悠平を連続四球で出塁させると、1番のヌートバーにセンター前タイムリー。そして2番の近藤に二塁打を打たれたところで交代となった。球数は59球だった。

 その後、韓国は矢継ぎ早に投手をつぎ込むも、日本打線を止めることはできず、14年前の試合を彷彿とせる4対13の大敗となった。

 ダルビッシュにとってはぶっつけ本番での登板。打者との感覚はまだつかめていない印象を受けた。キム・グァンヒョンにいたっては、大会前、韓国のイ・ガンチョル監督から「大事な場面での起用」と、先発ではなくリリーフでの登板を示唆されていた。ところが初戦のオーストラリア戦に敗れ、急遽、日本戦での先発指令が下った。

 ともにベストとは言えない状態での重要な先発登板は、もどかしさの残る結果となった。

「日本で投げることが十何年ぶりなので、特別に感じていました。生まれ育った場所で、こういう機会は最後かもしれないと思って投げていました」

 試合後、ダルビッシュはこう述べた。そしてキム・グァンヒョンは韓国取材陣の前で立ち止まることなく、バスへと向かった。

 ふたりの実力からすれば、不完全燃焼に終わった日韓戦。それでもまだ登板の機会はあるはずだ。次にどんなピッチングを見せてくれるのか、ふたりから目が離せない。

著者プロフィール

  • 木村公一

    木村公一 (きむらこういち)

    獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

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