西岡剛「負けたら日本に帰れない、なんて気持ちはナンセンス」。WBCの理想オーダーは1番・大谷翔平でイチローの役割を期待 (4ページ目)
【WBCは野球の祭典。大いに楽しんで】
――西岡さんは、第1回WBCで大活躍しましたが、どんなマインドで試合に臨まれていましたか?
西岡 そのWBC、2008年の北京五輪の時もそうだったのですが、ミーティングで先輩たちが「変な試合をしたら日本には帰れないぞ」といったことを話していたんです。でも、僕はあまりそういったことは考えてなくて、「結果を残せばいいでしょう」とシンプルに考えていました。
先日、ダルビッシュ選手が「戦争に行くわけではない」と過度なプレッシャーへの違和感を口にしていましたが、まさにそのとおりです。"野球の祭典"ですから。結局のところ、お客さんに来ていただく興行、イベントなわけですし、大いに楽しんでほしいなと思います。勝とうが負けようが僕たちは日本を応援するし、「負けたら日本に帰れない」なんて気持ちはナンセンスです。
――そういう気持ちは足かせにしかならない?
西岡 脳からの伝達で体は動くので、そういうマインドで頭のなかを固めると、確実に体は動きません。それよりも、メジャーで活躍している選手たちと同じグラウンドで戦える幸せを感じてほしい。すごくプラスになることばかりです。僕の場合は、メジャーの関係者もたくさん見に来ていたので、「自分の名前を覚えてもらおう」と思っていましたね。
勝ち負けは"見えないもの"です。僕は、その見えないものと戦う必要はないと思っています。それよりも、「ここではこうしたほうがいい」「このプレーをすれば、こういうプレーにつながる」など、目の前のプレーに集中するべきですし、"今"を戦い抜いてほしいなと思います。試合が始まっても、9回裏のことなんか誰も予測できませんから。
(後編:アメリカ戦のタッチアップ、韓国戦での「完璧」な一発、気まずかったシャンパンファイトを振り返る>>)
【プロフィール】
◆西岡剛(にしおか・つよし)
1984年7月27日生まれ。奈良市出身。2002年のドラフト1位で大阪桐蔭高からロッテに入団し、2005年、2010年の日本一に大きく貢献。その後、大リーグ挑戦を経て2013年に阪神入り。2019年からはBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスでプレーし、2022年からは九州アジアリーグの北九州下関フェニックスの選手兼任監督を務めている。NPB通算で1125試合に出場、打率.288、61本塁打、383打点、196盗塁。首位打者と最多安打が1度ずつ、盗塁王2度。ベストナイン4度、ゴールデングラブ賞3度。2006年WBC、2008年北京五輪日本代表。
◆西岡剛さんのYouTubeチャンネル
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著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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