高木豊が「バットコントロールがうまい現役選手」を分析。セ・パともにベスト3を選んだ (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by Kyodo News

――他にバットコントロールがうまい選手を挙げるとすれば?

高木 昨シーズン限りでNPBからの引退を発表しましたが、内川聖一(大分B-リングス)のバットコントロールは抜群でした。狙った方向に打てる技術がありましたし、ホームランを狙って打つこともできましたから。

 NPBの現役選手で似ているのは、牧秀悟(DeNA)かもしれません。牧も打つ方向を決めてそこに打つことができますし、柔軟性もあります。おまけに、牧の場合のほうが長打になることが多いですね。

――いろいろと名前を挙げていただきましたが、セ・リーグでバットコントロールが特に優れている3人を選ぶとしたら?

高木 宮﨑、大島、坂本ですね。彼らは体勢を崩されても、バットコントロールのうまさで対応できるタイプです。

――続いてパ・リーグですが、NPBでの7年間で通算打率.327のハイアベレージをマークした吉田正尚(現ボストン・レッドソックス)選手はいかがでしょうか?

高木 吉田は形が崩れないことに加えてスイングスピードが速い。スイングの振り幅が大きくて遠心力があるので、小さい体でも打球がよく飛びます。もちろんバットコントロールもうまいですよ。ただ、形が崩れずに毎回いいポイントで打てているので、バットをコントロールしなくてもボールにアジャストできるタイプです。

――体勢が崩されなければ、バットコントロールをする必要があまりない?

高木 ないですね。その場でコマみたいに回転すればバットのヘッドがついてきて、芯に当たってヒットになる。吉田はその形が確立されています。「体勢を崩された時に手首や肘、膝を柔らかく使って対応する」というバットコントロールの観点からすれば、杉本裕太郎(オリックス)のほうがうまいかもしれません。

――昨年、初の首位打者を獲得した松本剛選手(日本ハム)はいかがですか?

高木 松本は広角に打てますが、それが柔軟性がある=バットコントロールが優れているという証拠です。手首の使い方が柔らかく、常に力まずに打てている印象があります。バットを強く振ろうとすると、体を柔らかく使えなくなってしまうのですが、彼は最初から長打を狙っていない感じですし、ボールへの対応力に長けています。

 近藤健介(ソフトバンク)もいいですね。近藤はDeNAの佐野に似ているところがあって、追い込まれたら(左打者からすると逆方向の)センターから左を意識している場合が多い。ボールを長く見るために、そういう体勢でボールを待っていますね。

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