侍ジャパン史上最強打線の4番は村上宗隆で正解か? 伊勢孝夫が指摘する3月開催の国際大会の難しさと代表の重み (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Sankei Visual

 その村上に関してだが、2月17日の合宿開始から10日くらい経った頃、ちょうど合宿の打ち上げあたりでバッティングの状態が見えてくるはずだ。好調のバロメーターは、レフトからセンター方向に強い打球がいくスイングができているかどうか。このスイングが見られれば、私の心配も杞憂で終わるのだが、逆に苦戦しているようだと黄信号点滅といった感じだろうか......。

 これまで国際大会での日本の打者は、 "スロースターター"が多いと言われてきた。初戦、2戦目など大会序盤はなかなか調子が上がらず、慣れてきた準々決勝あたりからようやく本来のバッティングになる傾向が強かった。その原因は諸説あるが、やはり時期の問題が大きいと思っている。

 前述したように3月初旬から中盤は、まだ打者は仕上げの時期ではない。近年は無理やり調子を大会に合わせられる選手も出てきているが、容易なことではない。村上ならずとも他の打者がどれだけ大会に照準を合わせられるのかは、勝ち上がっていくうえで重要な要素になる。

 合宿期間中はなかなか生きた球を打つ機会は少ない。3月頭には中日や阪神などとの練習試合が組まれているようだが、この時期、エース格の投手は投げないだろうから、打てたとしても参考にしにくい。

 それに他国の投手は、日本人と投げ方が異なり、タイミングの取り方が難しい。このあたり、侍ジャパンの首脳陣がどう合宿でサポートしていくのか。いずれにしても国際大会は経験がものを言う。村上がこうしたハードルをいかにして乗り越えていくのか注目したい。

【著者プロフィール】木村公一(きむら・こういち)

獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

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