侍ジャパン史上最強打線の4番は村上宗隆で正解か? 伊勢孝夫が指摘する3月開催の国際大会の難しさと代表の重み (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Sankei Visual

 最終戦で日本人選手シーズン最多本塁打記録となる56号を放ったが、日本シリーズではオリックス投手陣の前に封じられた。ただそのあとに行なわれた11月の強化試合(豪州戦)でのホームランは、復調しているように感じられた。しかしWBC本番で昨年とは別の緊張感で4番に座った時、豪州戦と同じようにシャープなスイングができるのかどうか、いささか不安なのだ。

 代表合宿の日程は2月17日からのスタートで、本番は3月9日から。例年ならオープン戦の最中で調整はしているだろうが、決して仕上がっている時期ではない。

 村上の持ち味は、言うまでもなく長打だ。だが長打が出なければ、焦りが生じてくる。さらにホームランを求めれば求めるほど、フォームも崩れる。それでなくとも国際大会は連日相手国が変わり、初めて対戦する投手ばかり。タイミングも軌道もわからないまま戦わなければならない。

 考えすぎかもしれないが、一発勝負の国際大会は"万が一"を頭に入れておかなければならない。そのあたり栗山監督も口には出していないが、想定はしていることだろう。

 能力だけを考えれば、村上の4番に異論はないだろうが、そのような状態に陥ったとしたら、必然的に打順を変える必要が出てくる。その時にどこまで我慢し、決断するのかタイミングが難しい。これは村上だけに限った話ではないが、4番打者ともなれば、ほかの選手以上に重大な選択になってくる。

【勝つための打順は?】

 あくまで個人的な考えだが、たとえば4番には東京五輪で経験のある鈴木誠也を置き、村上を3番か5番、もしくは6番あたりで使ったほうが打線としての厚みが増し、村上も自身のバッティングに集中できるのではないだろうか。

 村上にも"三冠王"の自負はあるだろうが、栗山監督は常に「勝つことを最優先に考える」といった趣旨の発言を繰り返している。勝つための最善の策が"村上以外の4番"だったとしても、誰も責めはしないだろう。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る