嶋基宏が振り返る野村克也と星野仙一の教え。名将に学び楽天の日本一に貢献も、リード面で「自信を持てたことはない」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

嶋基宏 インタビュー前編

 楽天とヤクルトで活躍し、2022年シーズン限りで現役を引退した嶋基宏氏。2006年の大学・社会人ドラフト3巡目で指名を受けて楽天に入団し、2013年には球団初の日本一に貢献するなど正捕手として活躍した。2020年からはヤクルトでプレーし、2022年は選手兼コーチ補佐としてリーグ連覇を果たしたチームを支えた。

 その後、ヤクルトの1軍バッテリーコーチ兼作戦補佐となった嶋氏に、引退を決意した理由、楽天時代に大きな影響を受けた野村克也・星野仙一両監督とのエピソードなどを聞いた。

楽天時代に野村克也監督(左)から指導を受ける嶋氏楽天時代に野村克也監督(左)から指導を受ける嶋氏この記事に関連する写真を見る***

――16年間の現役生活、お疲れ様でした。引退の経緯から聞かせていただけますか?

「2021年シーズンのオフ、兼任コーチに任命された際に『そろそろ引退を意識しなきゃいけない』と思って新シーズンを迎えました。具体的に"この日に引退を決めた"というタイミングはありませんが......夏くらいに一度、球団の方とこの先について話し合いました。その結果を持ち帰り、選手生活にピリオドを打つことにしたんです」

――嶋さんの現役生活を振り返る上で、楽天に入団した際に指揮を執っていた野村克也監督との出会いは欠かせないと思います。印象に残っているやりとりはありますか?

「技術論や采配などについては、私はそれを評価するような立場にありません。お世話になったどの監督に対しても同じです。ただ、プロ入り間もなく野村さんには、『野球人の前に、ひとりの人間としてちゃんとするように』という教えをいただき、今でも心に残っています。

 個人的に言われたわけではなく、チームミーティングなどで選手全員によく話されていました。決して難しいことではありませんが、時間を守る、挨拶をする、きちんと返事をするといった、当たり前なことを疎かにしないことで人間として成長し、選手としての成長につながるということですね」

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