YouTubeで上原浩治やゲストの魅力を引き出すために。上田まりえ「野球に対する好きという気持ちが試されます」 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • 小嶋裕●撮影 photo by Kojima Yutaka

――雑談魂を進行する上で意識されていることはありますか?

上田 いかにも「進行しています」といった感じにはならないよう気をつけています。雑談を大事にするからには、カチっと決まった進行するのは違うでしょうから。もし、私がアナウンサー時代のキャリアが浅い時にこのチャンネルに携わっていたら、絶対に進行できなかったと思います。

 今も「もっとこうすればよかった......」と、収録のあとは落ち込んでばかり。いつもスタッフに改善点を確認し、次回の収録に活かせるようひとりで反省会をしています。でも、雑談魂で鍛えられたからか、他の仕事でも今まで難しかったことができるようになったと感じることも増えてきました。

 今年でキャリア14年目ですが、今はMCの仕事が心から楽しいです。小学校3年生の頃からアナウンサーになりたいと思っていましたが、実は、カメラの前で話すのはあまり得意ではありません(笑)。番組を進行するのも「失敗したらどうしよう」と恐怖や緊張の方が上回っていました。でも今は、「どんなふうに話を広げていこうかな」「こちらの話題に移ったほうがいいかな」と、ワクワクしながら臨むことができています。

――アナウンサーとYouTubeのアシスタントでは、収録に臨むうえでの意識も違いますか?

上田 日本テレビでは「アナウンサーは"表に出る黒子"である」と教わり、アナウンサー時代は「いかに引くか」を意識していました。アナウンサーという職業の性質上、情報をまっすぐ届けるために、自分を出すことは必要ないと思っていました。一方で、今はタレントとして活動していますし、YouTubeは引くだけでは成立しません。ある程度は自分を出さないといけませんし、前に出たほうが盛り上がることもある。そこのバランスが難しいですね。

 でも、雑談魂で一番大事なのは、上原さんやゲストのみなさんの魅力を引き出すこと。アシスタントの私の主な役割はその"橋渡し"です。基本的には引きのスタンスでいて、状況を見ながら会話に参加します。上原さんとゲストの2人だけだと出てこないような部分を引き出すのも、私の仕事だと思っています。

――上原さんと上田さんの「掛け合いが楽しい」「上田さんの厳しいツッコミが面白い」といった視聴者のコメントも目にします。

上田 上原さんのような方に対して遠慮せずにツッコミを入れられるのは、歳を重ねているからこそできることだと思っています。関西人の上原さんは、笑いに対しても貪欲。上原さんと2人でトークをする回もあるのですが、楽しくて時間があっという間に過ぎてしまううえに、とても勉強になります。

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