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ロッテ新監督の吉井理人は柔と剛のバランスがいい「設計者」。清水直行が「勉強させてもらった」と語る指導能力の高さ (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

プランづくりの能力の高さとバランスのよさ

 吉井氏は、選手として日米7球団で24年間プレーし、投手コーチとしては日本ハムを皮切りに、ソフトバンク、ロッテ、さらには野球日本代表と経験が豊富だ。これまでダルビッシュ有、大谷翔平、佐々木朗希など日本を代表するエースたちも指導してきた。

「経験値が圧倒的に高いです。机上ではなく実戦で積んできたもの、見てきた選手の数による経験値ですからね。成功体験や失敗体験が蓄積されていて、そういったものからブレない考えが生まれるんだと思います。

 また、ピッチャーがブルペンに入る日や投げる球数、シート打撃の登板日、オープン戦でどの試合に投げさせるかなど、全選手のプランが早い段階で決まっていた。ピッチャーの育成プランを作る力も素晴らしいですし、そういう意味では"設計者"でもありますね」

 今季に佐々木が完全試合を達成した際には、医療、栄養、コンディショニングを全面的にサポートする体制づくりや、球数制限や登板間隔を空けるといった育成プランが話題になった。清水氏は「柔と剛のバランスがいい」と続ける。

「ピッチャーを育成する上では、柔軟性を持ちながらいろいろなプランを立てていくと思うのですが、吉井さんは『いざ』という時に頑固な部分もある。投手を替える時も、事前に上限を100球と決めていたらそれを貫き通すといったように。吉井さんはそのバランスが優れていると思います」

 ただ、来季から担うのは監督。投手コーチと違い、今後はチーム全体のマネジメントが必要となる。

「吉井さんはご自身のことを"見習い監督"と言っていますね。投手コーチを歴任されてきた方なので、注目したいのはやはりピッチャーの管理です。黒木知宏さんが一軍の投手コーチに就任しましたが、ご自身の立ち位置、投手コーチを尊重する部分など、バランスをどう取っていくのかが気になります。ただ、吉井さんと黒木さんは日本ハムでも投手コーチとして一緒にやっているので、ある程度の"阿吽の呼吸"もあると思いますし、なんとなくイメージできます。

 一方で気になるのは、攻撃面でどういう手腕を振るわれるのかというところ。やはり投手の立場としては、試合前半にたくさん点を取ってくれるに越したことはないですし、アグレッシブに仕掛けていく部分と手堅くいく部分とのバランスだったり、勝負どころでの采配なども注目したいと思います」

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