ロッテ新監督の吉井理人は柔と剛のバランスがいい「設計者」。清水直行が「勉強させてもらった」と語る指導能力の高さ
清水直行が語る吉井理人新監督と今後のロッテ 前編
2018年からロッテを指揮していた井口資仁監督が2022年シーズン限りで退任。昨季まで投手コーチ、今季はピッチングコーディネーターを務めていた吉井理人氏が新監督に就任した。
ロッテの投手コーチ時代、佐々木朗希(左)の育成法も話題になった吉井理人新監督この記事に関連する写真を見る 吉井監督とはどんな人物なのか。長らくロッテのエースとして活躍した清水直行氏に、吉井監督について聞いた。現役時代はともにロッテでプレーし、引退後は両氏ともロッテの投手コーチを務めたが、清水氏は吉井監督の人物像についてこう語る。
「自分の意見をしっかり持っていて、一本筋が通っています。一方で、10歳年下の僕が言うのもなんですが、茶目っ気たっぷりな方ですね。僕が関西の人間だからなのかはわかりませんが、吉井さんも関西気質で親しみやすいです(清水氏は京都府出身、吉井監督は和歌山県出身)。現役時代は2007年の1年間だけロッテで一緒にプレーしましたが、その時もすごく近寄りやすく、『接しやすい方だな』と思っていました」
それから長い月日を経て、2019年には一軍が吉井氏、二軍は清水氏がそれぞれ投手コーチを務めた。
「吉井さんは一軍が休日の時などに、二軍のロッテ浦和球場に顔を出されていました。あとは石垣島の春季キャンプで、一軍のピッチャーたちがゆっくりと調整を始めた時に話をしましたね。
そういった時に感じたのは、観察力や傾聴力の高さです。キャンプ中に1週間ぐらい接しましたが、最初の2、3日ですぐにそのすごさがわかりました。吉井さんはコーチング(自主的な行動を促す、考えさせる)とティーチング(知識やノウハウを伝える)をしっかりと分別できているんです。選手とコミュニケーションをする中での質問の内容やタイミングのよさが抜きん出ていた。僕も投手コーチを務めるにあたって、いろいろと勉強させてもらいました。
二軍の駆け出しの選手や、三軍の選手であれば『ここはこうだよ』と教えていく部分はあると思いますし、生活面やプロ野球の仕組み、食事の取り方などは教えたりします。ただ、そういったティーチングよりも、圧倒的にコーチングのほうが必要なんです」
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