「足は速くない」「メンタルも弱い」のに4年連続盗塁王。なぜ片岡保幸はタイトルを獲得できたのか (3ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kai Keijiro

── 右ピッチャーの場合はどうなるんですか?

片岡 右ピッチャーの場合も考え方は同じで、一点に集中せずに背中全体をボンヤリと見ているイメージです。牽制の場合、ピッチャーの動き出しが右足になるけど右足ばかりを見ていたらやっぱり固まってしまうんです。むしろ、動きが少ないところ、右ピッチャーなら背中の辺りを見るのがいいんです。直視するよりも、ボーッと見ていたほうが、細かな違いに気づけたりすることも多いんです。

克服できなかったメンタルの弱さ

── 投手のクセの見抜き方、モーションを盗むコツなどはありますか?

片岡 あまりクセは意識しないようにしていました。首の使い方でかなりやられていたので......。

── 「首の使い方」とはどういうことですか?

片岡 キャッチャーを見たり、ランナーを見たり、ポイントとなるのはピッチャーの首の動きなんですけど、わざと首の力を抜くピッチャーがいるんです。その時に、ランナーも無意識にフッと力を抜いてしまうことがあるんです。その瞬間に牽制でアウトになったりしましたね。首の使い方が上手だったのはロッテの清水直行さん、唐川(侑己)でした。

── ロッテでは久保康友投手もクイックが速くて有名でした。

片岡 久保さんの場合は本当にクイックが速かったので、「絶対に無理だな」ってあきらめていました(笑)。一度、点差がある時にトライしてみたんですけど、やっぱり余裕でアウトでした。キャッチャーからの送球が逸れたら、何とかなるかもしれないけど、あれだけクイックが速いと、キャッチャーも余裕をもってスローイングできるのでやっぱり厳しかったですね。

── 冒頭で話題に出た「走る夢」は、その後も見ていたんですか?

片岡 見ていましたね。あとはハチに追いかけられる夢もよく見ました。

── どんなシチュエーションだったのですか?

片岡 とにかく大きいハチなんです。大群ではなくて一匹なんだけど、ずっと追いかけてくる。「逃げる」というよりは、「追われる」という感じでした。僕はそもそもメンタルが強くないんです。だから、いつも不安でした。それが夢にも出ていたんですね。

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