日本ハムに必要なのは即戦力。日体大・矢澤宏太のあとにドラフトすべき選手は「勝てる投手」と「打てる野手」だ (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 また、カーブをアクセントに使えるピッチングスタイルも重なる。大学では勝って当たり前の強豪チームに所属し、負けられないプレッシャーのなかで、エース格として投げ続けた事実が貴い。

 同じく負けられないトーナメントの社会人の強豪チームで、エース格で投げ続けた吉野と吉村。

 吉野は、腕利き揃いのトヨタ投手陣で2年目からのエース格は栗林良吏(広島)と同じ足取りである。負けられない環境は、今や「全国屈指の強豪チーム」となった上武大からで、経験値の高さは折り紙つきである。

 一方の吉村は、昨年はチーム事情でプロ入りを見送り、満を持して迎える社会人3年目のドラフト。140キロの力感で150キロのボールを投げられるストレートの威力、プロでも勝負球になるフォーク、ツーシームの精度。10月6日のヤクルトとの練習試合では、3イニング7奪三振の快投を見せた。

 今回のドラフトでウィーバーとなる2位指名の一番手となる日本ハム。1位は公言した矢澤宏太(日体大/投手兼外野手/173センチ・72キロ/左投左打)として、この3人のなかでひとりでも獲得できれば万々歳だ。

高校時代は彦根東のエースとして甲子園に出場した慶應大の増居翔太高校時代は彦根東のエースとして甲子園に出場した慶應大の増居翔太この記事に関連する写真を見る

小柄な本格派左腕

 その1位指名の矢澤だが、日本ハムのことだから"二刀流"での育成も十分考えられる。ならば、試合をつくれる投手をもうひとり確実にほしい。オススメしたいのは、増居翔太(慶應義塾大/171センチ・71キロ/左投左打)だ。

145キロ前後をマークしながら、丁寧に丹念にコーナーの隅に投げていく。スライダー、カットボール、ツーシームにスプリット......変化球も交えながら、ムダ球を使わず、テンポよく投げ進める。小柄でも、あくまで真っ向勝負の"本格派"だ。

 今シーズンの日本ハムを振り返り、痛かったのは3年目の4番候補だった野村佑希の故障離脱だ。新庄監督がいくら「実験の年」といっても、4番ぐらいは定着させ、いろいろと試したかっただろう。

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