日本シリーズ進出のカギを握る男、オリックス山岡泰輔は「心技体+テクノロジー」でさらなる高みを目指す

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

 26年ぶりのパ・リーグ連覇を果たしたオリックスは、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでソフトバンクを本拠地・京セラドームに迎え、日本シリーズ進出まであと1勝と迫った。

 CSファイナルを含め、これから先の戦いを考えた時にポイントとなるのが投手陣だ。なかでも、史上初めて2年連続「投手四冠」に輝いたエース・山本由伸に続く右腕として期待がかかるのが山岡泰輔だ。今シーズン、規定投球回数には到達しなかったものの22試合で6勝8敗、防御率2.60と全体的には安定した投球を見せた。とくにシーズン前半は勝ち星に恵まれないなか防御率争いをリードし、8月30日まで1点台を記録した。

今シーズン22試合に登板し、6勝をマークしたオリックス・山岡泰輔今シーズン22試合に登板し、6勝をマークしたオリックス・山岡泰輔この記事に関連する写真を見る 後半戦の失速は、7月28日に新型コロナウイルスのPCR検査で陽性となったことが響いた格好だ。隔離生活で落ちた筋量をなかなか戻せず、復帰後も前半戦のようなパフォーマンスを見せることができなかった。

 ペナントレース最終戦で優勝を果たしたチームにとって、ファイナルステージまでに山岡がどれくらい前半戦のようなコンディションを戻せたかが重要なポイントになる。

オフに投球フォームを微修正

 昨年9月に右ヒジのクリーニング手術を受け、日本シリーズで復帰した山岡は今季を迎えるにあたり、フォームを微修正した。

「腕を振る高さがほんの少し下がっています。本当に"気持ち"くらい、少しですけどね」

 そう話すのは、山岡を瀬戸内高校時代から見ている高島誠トレーナーだ。ふたりは今シーズンに備えた自主トレで、スライダーをより生かすことをテーマに掲げた。高島トレーナーが続ける。

「山岡はストレートにすごくこだわりを持っている一方、投球の軸はスライダーであるべきピッチャーだと思います。もちろんストレートを捨てるわけではないですが、スライダーを投げやすい位置にアームアングル(腕の高さ)を持っていくべきだろうという話になりました。負担を下げるという部分も含めてですね」

 山岡は高校時代から縦スライダーを宝刀としてきた。垂直跳びで80センチを飛ぶような跳躍力を生かしてオーバースローからしなやかに右腕を振り、まるでパワーカーブのように鋭く落としていく。その独特な軌道は最大の持ち味のひとつだ。

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