斎藤佑樹がグラブづくりの現場でマイスターから学んだ「野球界のためにやらなければいけないこと」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

岸本 じつは私、職人というのはあまり好きじゃないんです。ミズノの社員、ミズノの技術者として、クラフトマン、マイスターとして、このグラブづくりの技術を私限りで途絶えさせてはいけないと思っています。職人というと、一代限りというか、人間国宝的な存在になりがちですが、そうであってはならない。あくまでもミズノのクラフトマンとして、そのなかのマイスターとして、グラブづくりを継承していかなければならない。私が歳をとったら終わりというのではなく、脈々と受け継がれていくのは職人ではなくクラフトマンだと思っています。

斎藤 なるほど、カッコいいですね。

岸本 グラブというのはすごく特殊な商品ですから、継承していくのがすごく大変だと思うんです。つくり方がちょっとでもわからなくなったら、途絶えてしまう商品ですからね。ここの工場も50年経って、この先100年を目指すなかで、技術の継承、技術者の育成は何よりも大事なことだと思っています。子どもの人口も野球人口も減ってはいますが、いいものをつくり続けていけばミズノの商品はずっと続くでしょうし、野球もなくならないと信じています。ものづくりをしてきたひとりとしてできるのは、いいものをつくるということ。ミズノのグラブはいいなと言われ続けるために、クラフトマンとしての技術は大事に継承していきたいと思っています。

◆【動画】斎藤佑樹がどうしても行きたかった場所〜ミズノグラブ工場を訪ねて

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