「球史に残る5人の名投手」をジャッジ歴35年の杉永元審判員が選出。「野球を8イニングに変えた男」がいた (2ページ目)
11試合連続完投勝利など「ミスター完投」と称された斎藤雅樹この記事に関連する写真を見る斎藤雅樹(元巨人)
上原浩治投手と同じで、どの球を投げても空振りがとれる投手でした。斎藤投手の場合は、ストレートとスライダーがおもな球種でしたが、スライダーは大きい曲がりのものと、小さく変化するものと2種類ありました。そのスライダーが、右打者に対しては外角低めに、左打者に内角低めに面白いように決まっていました。
斎藤投手のスライダーはサイドスローからきれいに真横に曲がってきて、しかもストレートとまったく同じ軌道。だからストレートのあとにスライダーを投げられたら、打者は絶対に振ってしまう。そのピッチングは芸術的でした。
1989年に11試合連続完投勝利という記録を打ち立てましたが、斎藤投手だからこそ成し得た記録だと思っています。ボールのキレはもちろんですが、コントロール、リズム、スタミナ、そして度胸......すべてが一級品でした。
前田健太(現ツインズ)
先述したように、審判というのは空振りがとれるピッチャーを好きになる傾向があるのですが、それと同じくらいゴロアウトで打ちとれる投手も「すごい」と思ってしまいます。
私のなかで、ゴロアウトで打ちとれる投手の筆頭が広島時代の前田健太投手でした。前田投手はストレート以外に、スライダー、チェンジアップ、シュート、カーブ、カットボールと多彩な変化球を低めに集めて、ゴロの山を築いていきました。
前田投手もコントロールは抜群でしたが、なにより投球術に長けていました。いかに球数を少なくして打者を仕留めるか。そのことを第一に考えながらピッチングしていたように思います。
今はヒジの手術からのリハビリのためゲームで投げていませんが、1日も早く復帰して、日米通算200勝を目指して頑張ってほしいですね。
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