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元ヤクルトのスカウトが今も忘れない逸材5人。高校1年時に「ひと目見て度肝を抜かれた」投手がいた (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

 プロ入り後も長きにわたり巨人の主軸を担い、通算2132安打、406本塁打のスラッガーになったわけですが、あの本塁打を見て「とんでもない打者になる」ことは確信しました。

 バッティングに注目が集まっていた阿部選手ですが、捕手としても強肩だったし、キャッチングもまずまず。リードはプロ入り後に覚えるだろうと。名実ともに球界を代表する捕手となったわけですが、"打てる捕手"がいるチームは強い。ヤクルトにも古田敦也選手がいましたし、阿部選手がマスクを被っていた時の巨人は強かったですからね。

石川雅規(青山学院大→ヤクルト1位)

 青学大時代の石川雅規投手は、東都大学リーグ通算23勝8敗。284奪三振、防御率1.63の好成績を残し、2000年のシドニー五輪に大学生ながら選ばれました。石川投手の身長は170センチに満たず、ストレートも140キロに届くか届かないか。それでも「この子はプロに入らなければいけない投手だ」と惚れ込みました。

 なぜそう思ったかと言えば、投げる時に左腕が体に隠れて、打者はボールの出どころがわからないからです。それに球のキレがいいから、表示速度よりも速く見える。シンカーやチェンジアップの変化球もしっかり腕を振って投げられるし、コントロールも絶品でした。

 アメリカで開催された日米野球を視察した時のことです。石川投手はわずか2/3イニングの投球でしたが、重要な局面でのリリーフ。この場面で、普段と変わらない投球を披露しました。

 つまり、ピンチであろうと感情は変わらず、力むことがない。力まないということは、コントロールミスが少ないのはもちろん、投球フォームも崩れにくいので肩やヒジを痛めるリスクが少ないんです。

 今年でプロ21年目、史上28人目の通算3000投球回到達の金字塔を打ちたてましたが、コントロールを武器に大きなケガなく投げ続ける石川投手のまさに"真骨頂"と言えると思います。

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